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「自信あった」波乱女王スプマンテ 確信の大逃走V=エリザベス女王杯

11月15日19時12分配信 スポーツナビ

「自信あった」波乱女王スプマンテ 確信の大逃走V=エリザベス女王杯
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アッと驚く逃走劇でエリザベス女王杯を優勝したクィーンスプマンテ【スポーツナビ】
 行った行ったの大波乱だ! JRA秋の女王決定戦・第34回GIエリザベス女王杯が15日、京都競馬場2200メートル芝で開催され、大逃げを打った田中博康騎乗の11番人気クィーンスプマンテ(牝5=小島茂厩舎)が最後の直線でもセーフティリードを保ち、2番手から迫る12番人気テイエムプリキュア、後方から強襲してきた1番人気ブエナビスタの猛追を防いで優勝。同レース史上最高配当となった3連単154万5760円大波乱の立役者となった。勝ちタイムは2分13秒6。騎乗した田中博はデビュー4年目でうれしいGI初勝利、同馬を管理する小島茂之調教師はGIは2008年の秋華賞(ブラックエンブレム)以来となる通算2勝目、エリザベス女王杯初勝利となった。

 一方、単勝1.6倍の断然人気に支持された安藤勝己騎乗のブエナビスタ(牝3=松田博厩舎)は、3コーナー下りから捲り気味に進出し上がり3F32秒9の鬼脚を繰り出すも、3着が精一杯。2着にはクィーンスプマンテの真後ろを追走していた熊沢重文騎乗のテイエムプリキュア(牝6=五十嵐厩舎)が粘りこみ、こちらも波乱演出の一役を買った。

◇ ◇ ◇

 まさか、まさかの逃走劇だった。デビュー4年目の若手・田中博を背に思い切った大逃げを打った11番人気クィーンスプマンテが、後続を寄せ付けずに“圧逃”V。2着にもこの逃げについていった12番人気テイエムプリキュアが粘りこみ、いわゆる「行った行った」のワンツー決着。2ケタ人気馬同士のランデブー逃走に、5万8千観衆の京都競馬場からはざわめきが止まなかった。
 だが、このアッと驚く逃走Vを半ば確信めいていた男がいた。クィーンスプマンテを管理する小島茂之調教師、その人だ。
 「競馬はやってみなければ分かりませんし、各馬の脚質や展開など自分なりに計算していましたので、正直、『勝てるんじゃないか』と自信があったんです」
 断然人気の3歳二冠牝馬ブエナビスタをはじめ、今回の人気どころは末脚にかけるタイプがズラリ。このメンバー構成で、スタートしてから最初の1コーナーまで直線が続く京都2200メートルコースなら、発馬さえ失敗しなければハナを切れる。過去、逃げたケースは6戦5勝。マイペースで単騎逃げに持ち込めばこっちのものだ――小島茂調教師はそう考えていた。

 もちろん、勝利の手応えを感じ取れたのは、それだけの出来にあったからこそ。前走のGII京都大賞典の前から栗東に入厩し、そのまま美浦には帰らずに目標戦のエリザベス女王杯へ向け栗東トレセンで渾身の仕上げ。
 「今まではハードに攻められなかった馬なんですが、今回はハードな調教を乗り越えてくれました。馬の状態は今までにないくらいのものでしたね」
 振り返れば、強い調教ができなかったGII京都大賞典でも、9着に敗れたものの直線半ばまで先頭と見せ場タップリ。その時と比べ物にならない状態に仕上がったとあれば、トレーナーの心に宿った自信もうなずける。
 それは、ジョッキーも同じ気持ちだった。2年前の07年3月31日の福島未勝利戦でクィーンスプマンテの初勝利時に手綱をとったのも田中博。その当時と比較すればもちろんのこと、前走と比べても状態は申し分なかったという。
 「未勝利を勝った時と比べると、すごくパワーアップしましたね。どことなく芯の入っていなかった馬がドッシリとしてきましたし、トモ(後肢)の感じもいいなって思いました。それに前走は軽めの調教でしたが、今回は目いっぱいに仕上げました。力を出せる状態でしたし、自信を持って乗れましたね」
 愛馬同様、田中博も関東所属のジョッキーだが、前走、そして今週と栗東トレセンに入り自ら調教に騎乗。そこで直に伝わってきたシビれる感触が自信を植えつけたのだ。

 「競られてつぶれても仕方ない」とトレーナーが語れば、ジョッキーも「絶対に逃げてやろうと思っていました」と断固たる思いで挑んだレースは、当然逃げの一手でハナを主張。「ペースを落としすぎても持ち味は生きない。スプマンテのリズムで乗れたと思います」と、同じく大逃げを得意とするテイエムプリキュアとともに果敢に後続をグングン突き放していく。
 3番手以降との後続の差は20馬身近くあっただろうか。田中博自身はこの差は分からなかったと言うが、「プリキュアも来ていましたし、後続の足音が聞こえなかったので、いい感じで行けているな」と快ペースを確信。2番手追走となった京都大賞典では「ハミをいじるところがあって」と折り合いは完ぺきといかなかっただけに、今回の道中は理想どおりに進められたという。
 「とにかく今回は楽に走らせてあげよう、気持ちよく走らせてあげようと思っていました。3、4コーナーでも息が保っていたし、“ヨシッ!”って(笑)」
  実際のペースは12秒台のラップを刻み、前半1000メートルの通過が60秒5と、見た目ほど速くはない。この絶妙な幻惑ペースに、後続は金縛りにあったままだ。ただ、4コーナーを回ったところでターフビジョンを確認しても、映し出されたいたのはタイミング悪く後続勢だったために、ここでも3番手以降との差は確認できず。それだけに「余裕なんてありませんでした。本当に必死でしたし、とにかく粘ってほしいって思って追いました」と苦笑い。それでも、テイエムプリキュアを突き放し、強襲するブエナビスタも完封しての堂々の大金星Vゴールだ。
 「GIの味は最高ですね。こういう舞台に常に立てるジョッキーになりたいです」
 ゴール後、ひと呼吸おいて左手でガッツポーズをつくった23歳の若手は、4年目でのGI初勝利を喜びいっぱいに噛みしめた。

 一方、あらためて会心勝利の余韻に浸った小島茂調教師。目標戦に向けて120パーセントの仕上げを施した厩舎スタッフの手腕は素晴らしいが、もちろん、この勝利は馬自身の頑張りがあってこそ。トレーナーもクィーンスプマンテへの感謝を第一に語る。
 「もう5歳ですし、お母さんになる日も近いと思います。そんな中で目標にしてきたレースをこうして勝てたのは、この子の頑張りによるもの。本当にありがとうと言いたいですね」
 次走は現時点では未定。年齢を考えればこのまま引退、繁殖入りの可能性もあるだろうが、これだけの走りを見せられては年末のGI有馬記念(12月27日、中山2500メートル芝)でも、その大逃げを堪能したいというもの。5歳にしての重賞初勝利がGI勝利という遅咲きクィーンが師走の中山に登場となれば、1年の総決算グランプリがまた一段と盛り上がりそうだ。

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最終更新:11月15日19時20分

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