ここから本文です

“世界最薄”モバイルノート「Adamo XPS」の秘密に迫る

11月23日17時18分配信 +D PC USER

“世界最薄”モバイルノート「Adamo XPS」の秘密に迫る
ボディは非常に薄い
 2009年最後の目玉機種として、デルは11月18日に13.4型ワイド液晶ディスプレイ搭載モバイルノートPC「Adamo XPS」を発売した。9月に9.99ミリ厚のノートPCという衝撃的なティーザー広告を展開し、10月に奇抜なボディデザインの一部を公開、そして11月6日に製品発表と、段階的に情報を公開してきたところに、デルの力の入れようがうかがえる。

【拡大画像や他の紹介写真を含む記事】

 「Adamo」は2009年3月に投入されたデザイン重視のプレミアムノートPCブランドで、Adamo XPSはその第2弾となる製品だ。また、「XPS」はデルの中でもハイパフォーマンスなPCラインアップに位置付けられる。この2つが融合したAdamo XPSとは一体どのようなPCなのか? 日本市場版の出荷を前に、海外市場版の試作機を入手できたので、まずはこちらで気になるポイントをチェックする。実際の製品とは一部の仕様が異なる点はあらかじめお断りしておく。

●“普通じゃない”薄さとデザインに驚く

 最大の特徴は何といっても、他を圧倒するスリムボディだ。デルが「世界最薄」をうたうボディは、最薄部で9.7ミリ、最厚部でも10.3ミリと驚異的な薄さを実現している。これはスリムボディで世間を騒がせている「VAIO X」の13.9ミリを上回る薄さだ。ちなみに、冒頭で触れた9.99ミリという数字は厚さの平均値だという。試しに手元のデジタルノギスで測定したところ、手前側が9.72ミリ、奥が10.12ミリ(ゴム足まで含めると11.1ミリ)と非常に薄かった。

 この薄さを達成するために採用した独特のボディデザインも大きな特徴だ。初代のAdamoは、液晶ディスプレイのヒンジをボディ後方の端ではなく、その途中に配置した個性的なデザインで話題を呼んだが、Adamo XPSではさらにとんでもないことになっている。

 通常のノートPCは天面側に液晶ディスプレイを配置し、底面側にキーボードやポインティングデバイス、インタフェース類、バッテリーをまとめて内蔵した構成となっているが、Adamo XPSでは天面側に液晶ディスプレイと主要なインタフェース、バッテリーを搭載し、底面側にキーボードとタッチパッド、主要な基板類を収めた特殊な設計としているのだ。この設計では当然、天面側より底面側の面積が小さくなるため、天面側に底面側を包み込むように収納するという独創的なデザインに仕上げている。逆転の発想とでもいえばいいだろうか。

 液晶ディスプレイの開閉の仕方と利用時のスタイルも実にユニークだ。天面の前方に感熱式センサーの細い溝があり、これを指で左右になぞるとラッチが外れ、液晶ディスプレイを開くことができるようになる。天面側が底面側より大きいAdamo XPSでは、液晶ディスプレイ部とバッテリー部の境目にヒンジがあり、液晶ディスプレイを持ち上げるとキーボード部の奥が自然に浮き上がり、タイピングしやすいように傾斜が付く。利用時は天面側の後部と底面側の先が設置し、2辺で本体を支える格好になる。利用時の外観はノートPCというより、スリムな液晶一体型デスクトップPCのような印象だ。

 写真を見ると、設置時のバランスが保たれているのか気になる人も多いだろう。その点はよくできていて、重心が手前にあり、液晶ディスプレイの角度も開きすぎないため、使用時に後ろにひっくり返ることはない。設置する部分には滑り止めとスタンドを兼ねた小さなゴムが張り付けてあるので、机上での操作は安定して行える。

 モバイルノートPCはヒザの上で使うことも多いだろうが、この使用感も決して悪くない。長時間使っていると、天面側の後部が太ももにくいこんでくるのは気になるが、ヒザから本体が滑り落ちてしまうことはなく、キー入力も十分できる。ただし、旅客機や電車、カフェにあるような小さなテーブルなどでは設置に困ることもありそうだ。

 Adamoブランドということで、外装へのこだわりは健在だ。初代Adamoのような装飾は見られず、シンプルな見た目だが、シルバーで統一されたボディはアルミニウム素材をふんだんに用いており、薄さと高級感、触れたときの質感、剛性感をうまく出している。試しに、パームレストの端を片手で握って持ち上げても、ボディが大きくたわむようなことはなかった。

●本体サイズや重量、バッテリーには薄型化の影響も

 薄さを極限まで追求して設計した結果、本体サイズは340(幅)×272(奥行き)×9.7〜10.3(高さ)ミリとなっており、13型クラスのワイド液晶ディスプレイを搭載したノートPCにしては奥行きが長い。薄型のため、バッグなどへの収まりは非常によいのだが、奥行きがあるので、バッグの高さがないと完全に収納できないこともある。

 重量は標準の6セルバッテリー装着時で約1.44キロ以上、オプションの12セルバッテリー装着時で約1.56キロ以上だ。この重量は表面積が大きいことと、薄さと剛性の両立を図ったことが影響している。薄さの割に軽さは優秀とはいえないまでも、モバイル用途に十分活用できるレベルにある。

 バッテリー駆動時間は標準の6セルタイプで最大2時間36分、オプションの12セルタイプで最大5時間17分をうたう。標準バッテリーでは少々心もとないが、12セルタイプのバッテリーを装着すると、後部の厚さと重量が増すことになる。外出先で長時間のバッテリー駆動を行う用途にはあまり適していないといえる。

 付属のACアダプタはサイズが約69×118×17ミリ、重量は単体で約199グラムだ。コンセントに直接装着できるウォールマウントプラグと通常の電源ケーブルが付属し、ACアダプタに前者をセットした場合は約215グラム、後者をセットした場合は約290グラムだった(いずれも実測値)。特に小型軽量のACアダプタではないが、カラーやデザインが本体と統一されており、薄型になっているのが心憎い。

●極薄ボディにCore 2 Duoを搭載

 Adamo XPSでうれしいのは、これだけの薄さでありながら、CPUにCore 2 Duoを搭載し、パフォーマンスにも配慮していることだ。基本スペックは、CPUが超低電圧版のCore 2 Duo SU9400(1.4GHz/2次キャッシュ3Mバイト)、チップセットはIntel GS45 Express(グラフィックス機能のIntel GMA 4500MHD内蔵)、メインメモリが4Gバイト(PC3-6400)、データストレージは128GバイトSSDを採用する。プリインストールOSは64ビット版Windows 7 Home Premiumのみで、現状でほかのエディションや32ビット版の選択肢はない。

 通信機能はIEEE802.11a/b/g/nの無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRを装備する一方、ボディサイズを優先したためか、有線LANは非搭載だ。インタフェースは左側面にUSB 2.0とDisplayPort、右側面にUSB 2.0、ヘッドフォン、ACアダプタ接続用のDC入力を備えている。DisplayPortについては、標準でDVI-I変換アダプタが付属し、オプションでアナログRGB/HDMI用の変換アダプタも用意されている(各2625円)。そのほか、200万画素のWebカメラとデジタルマイクも内蔵する。

 メモリカードスロットなどは内蔵されていないが、ここまで薄型のボディであれば、納得がいく構成だ。なお、キーボード部の左側にはSIMカードスロットが用意されているが、これは海外市場版に適用される仕様であり、国内で利用できるオプションは提供されていない。

●13.4型ワイド液晶ディスプレイとデザインに配慮したキーボード

 13.4型ワイド液晶ディスプレイは1366×768ドット表示の光沢パネルを採用。薄型化のため、バックライトには白色LEDを用いている。画面サイズと解像度のバランスはよく、Windows 7の表示は見やすい。モバイルノートPC用の液晶ディスプレイとしては標準的な表示品質で、輝度は十分確保されているものの、上下の視野角がやや狭く、光沢パネルへの映り込みもある。液晶ディスプレイの角度は120度強くらいまでしか開かないので、ヒザの上などで利用する場合は、上方向の視野角の狭さが少し気になった。

 キーボードのデザインは、最近採用例が増えている、キー間隔を離したアイソレーションタイプだ。キートップは金属でヘアライン加工が施されており、指で触れると樹脂製とは違うヒンヤリした感触がある。キータッチは硬めにチューニングされており、ストロークは浅いものの、しっかりした反発がある。非常に薄いキーボード部は、入力時のたわみやぐらつきが少なく、意外に安定して長文を打てる。液晶ディスプレイを最大まで開いた状態で、キーボードには10度程度の傾斜がつき、写真では角度が急に思えるかもしれないが、実際は結構入力しやすい。

 試作機は海外市場版なので、キーボードは英字仕様だった。キーピッチは主要キーで約18ミリを確保しており、主要キーのサイズは約14×14ミリと小さめだが、上下/左右のキーとの間隔は約4ミリ離れているため、隣接するキーを間違って押すことは少ない。ただし、日本語キーボードではこれよりキーレイアウトやキーピッチが多少変則的になることが予想される。

 ファンクションなど最上段のキーは独立した小さな横長のボタンになっており、タッチタイピングでの操作がしにくい。普段からショートカットの操作でファンクションキーを多用するユーザーは使いにくい部分だろう。

 ポインティングデバイスは2ボタン式のタッチパッドを採用する。パッドのサイズは76×43ミリと十分で指の滑りも問題ないが、左右のクリックボタンはキーボードの硬さに対して柔らかく、少々軽すぎると感じた。タッチパッドにはシナプティクスの多機能ドライバが導入済みで、2本指によるジェスチャー機能にも対応している。

●Core 2 DuoとSSDの採用でモバイルノートPCとしては良好なパフォーマンス

 試作機のパフォーマンスもチェックしてみた。ただし、前述の通りSSDの容量が国内市場版と異なり、OSも英語の64ビット版Windows 7 Home Premiumなので参考程度に見てほしい。電源プランは標準の「Balanced」設定とした。

 Windowsエクスペリエンスインデックスは、Intel GS45 Expressチップセット内蔵のグラフィックス機能(Intel GMA4500MHD)が足を引っ張り、グラフィックス関連のスコアが低めだが、SSDのパフォーマンスが優秀だ。デルによれば、国内市場版の128GバイトSSDは試作機に搭載されているSSDの容量違いとのことなので、これに近いスコアが得られると考えられる。Windows Aeroを含むWindows 7の機能を利用するうえで問題がない性能といえるだろう。

 PCMark05、PCMark Vantage、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3といったPC USERでおなじみのベンチマークテストの結果を見ても、スペックから察するに妥当なスコアだ。Core 2 Duoと比較的高速なSSDの採用により、モバイルノートPCとしての基本的なパフォーマンスは良好だが、3Dグラフィックスの性能は控えめなので、やはりゲーム用途には向かない。

 なお、今回入手した試作機は電源回りに少し問題があり、液晶ディスプレイのバックライト輝度が不意に切り替わったり、ファン制御に不具合が見られたため、バッテリー駆動時間や騒音、発熱のテストは見送った(ファンはキーボードの左奥にある)。もちろん、実際の製品ではこうした問題が解消されているという。

 とはいえ、非常に薄いボディということで、発熱を気にしているユーザーは少なくないだろう。あくまで試作機を利用した感想になるが、利用時にユーザーの手が触れるパームレストやキーボードは比較的発熱しにくく、キーボードの奥や底面のヒンジ付近が熱くなりやすかった。システムに負荷がかかると、右パームレストが熱くなってくるが、温度が上がりすぎて困るほどではなかった。Adamo XPSは利用時に底面が浮き上がり、本体の上下にエアフローができるため、このスタイルも放熱に一役買っている。

●人とは違うプレミアムなノートPCを求めるユーザーへ

 以上、駆け足でAdamo XPSをチェックした。薄さだけを最優先したノートPCのように思うかもしれないが、変わったボディデザインから予想されるよりも使い勝手はよく、見た目も中身も相当に練られて作り込まれていると感心した。

 実用重視のモバイルノートPCは数多くの選択肢があるが、デルが世界最薄をうたうように、ここまでの薄さを実現した製品はない。極薄のアルミボディと独特のボディデザインは、人とは違ったプレミアムなノートPCを求める層にピッタリはまるだろう。これで17万4000円からという価格は意外に安いと感じさせる。

【関連記事】
デル発、世界最薄Core 2 Duoノート:「Adamo XPS」の“普通じゃない”極薄ボディを動画で確認する
デル、極薄筐体採用ノート「Adamo XPS」を正式発表
9.99ミリの超薄型ノートPC「Adamo XPS」、Dellが新たな写真を公開
Adamo第2弾か:デルが“世界最薄”ノートPC「Adamo」の新型を投入か?――厚さは9.99ミリ!?
厚さ9.99ミリの超薄ノートPC、Dellがティーザー広告

最終更新:11月23日17時18分

+D PC USER

 

関連トピックス

主なニュースサイトで セブン搭載パソコン の記事を読む

ブログパーツ

コンピュータトピックス

nikkei BPnet for Yahoo!ニュース

nikkei BPnetnikkei BPnetの注目コラムをYahoo!ニュースの読者のために厳選しました。
最新のコラムを読む

PR

注目の商品・サービス