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クーポンサイト なぜ廃れた?

THE PAGE 2013年9月10日(火)11時46分配信

 2010年から2011年前半にかけて、話題となったクーポンサイト。フラッシュマーケティングという手法で、「○時間以内に△△人が購入すればディナー半額に」という、共同購入モデルとして話題になりました。参入障壁の低さから、一時は100サイト以上も誕生しました。また、アメリカの大手、グルーポン社が日本市場へ進出、リクルートなども参入し、わずか数カ月で“戦国時代”へ突入するなど、多くのメディアでも取り上げられました。

 しかし、2011年の年明け早々、2強だったうちの1社、グルーポンが提供したおせち料理(2万円相当とのふれこみ)が、イメージ画像とあまりに違うものが届くトラブルなどもあり、ブームは徐々に沈静化。100サイト以上あったサービスは、次々に閉鎖していき、今年の夏には、2010年当初からサービスを提供していた“老舗”のKAUPONも事業譲渡。継続しているサイトもありますが、ブームとしては1つの時代に幕が降りる形となりました。なぜ、あれだけ話題になったフラッシュマーケティングが定着しなかったのでしょうか? 三菱UFJコンサルティング&リサーチの鈴木ちさ氏に理由を聞いてみました。

――日本で定着しなかった理由は?
 「フラッシュマーケティングの本来の手法は“体験”を共有すること。30人が24時間以内に購入する、というイベントを体験し、レストランのコースを安く体験する、というところが新しかったのですが、徐々に、単に安いだけのクーポンになってしまった。当時、デフレだったこともあり、単なる安売りには、ユーザーが共感しなくなったのが一番の原因ではないでしょうか」

――あれだけ話題になりユーザーに受け入れられなかったわけではないと思いますが?
 「フラッシュマーケティングの手法自体、イベント性があり、ゲーム感覚があったと思います。そういう意味では、新しさとおもしろさがあり、当初はユーザーからの支持を得ました。反面、ゲーム感覚のものは飽きられやすい、というリスクもあり、飽きられやすいサービスだったのかもしれません」

――グルーポンのおせち事件の影響もあったと思いますか?
 「あったと思います。ネット上で商品を購入する際に、やはり信用性というものがネックになります。かつて、ネットで靴は売れない、と言われていた常識を打ち破ったアメリカのザッポスは、『試着OK、返品可』という新しいスタイルでユーザーからの支持を得ました。しかし、おせちの事件の場合、クーポンで購入した商品がどういうものが届くか、不安だったにも関わらず、信用を裏切る形となってしまった。結果として、ユーザーが離れてしまうことにもつながったと思います」

――出店する側にもメリットはなかったのですか?
 「最終的には、出店する側にとってのメリットを見いだせなかったと思います。前述のように、単なるクーポンサイトになってしまうと、そこに集まってくるユーザーは“チェリーピッカー“と呼ばれる、安売りに集まってくるユーザーばかり。そうなると、飲食店などがクーポンを提供しても、新規顧客やリピーターが獲得できるのではなく、クーポンの商品だけを食べて、リピートしてくれないお客しか来てくれません。そうなってしまうと出店する側にとっては、魅力あるサービスとは言えなくなってしまいます」

――再びブームになる可能性はないでしょうか?
 「難しいでしょう。今は、LINEをはじめとするソーシャルサービスが強くて、“体験の共有”は、LINEを使うことでできてしまう。また、出店側としては、リピートする顧客を獲得することが目的でもあり、その場合、O2O(オンライン to オフライン)のほうが、優良なリピーターを確保することができます。モニターになってもらい、商品のレビューを書いてくれるユーザーに対し、クーポンを発行する、などというやりかたのほうが出店側にとってのメリットが大きいですから」

 本来の「体験の共有」を提供し、ユーザーに対してメリットを提供すること、そして出店側にもメリット提供することで成り立つクーポンサービス。参入障壁こそ低かったものの、ユーザーと出店側、双方のメリットを提供し、継続可能なサービスとして提供することこそ、ハードルが高かったのかもしれません。

■鈴木ちさ 三菱UFJリサーチ&コンサルティング コンサルティング・国際事業本部 経営戦略部コンサルタント。大学卒業後、男性化粧品メーカー、教育サービス会社、マーケティング・リサーチ会社を経て現職。「ブランド」を起点とした組織の活性化、マーケティング戦略策定、顧客コミュニケーション戦略策定など、広義のブランド・マーケティング関連プロジェクトを多く手掛ける。

最終更新:2月1日(月)3時39分

THE PAGE

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