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「CD買って!」スガシカオが訴え、CDとDLどっちが儲かる?

THE PAGE 2014年5月28日(水)7時0分配信

 ミュージシャンのスガシカオさんがツイッターで「CDを買って欲しい」と発言したことをきっかけに、ダウンロードだけでは赤字になってしまうという音楽業界の体質がネットで話題になっています。

 スガさんは今月21日、シングル「アストライド」を発表したばかりなのですが、それに関連して「ダウンロードも嬉しいけどCDを買って欲しい」という発言をツイッターで行いました。「ぶっちゃけ、ダウンロードでは制作費を確保することができず、次の作品のメドが立たない」というのがその理由です。

CD販売でアーティストの取り分は2%程度

 CDを販売するには、プレス代やパッケージ代、レコード店のマージンなど多額の費用がかかりますが、それでも、販売価格の半分程度は製作側に残ることになります。この金額を、音源制作費、レコード会社の利益、プロモーション費用、アーティストの印税、プロデューサーの印税などで分け合うことになります。アーティストの取り分は全体の2%程度(作詞作曲をしていれば著作権料としてこれに数%が加わる)が相場です。

 スガさんのいう制作費とは何のことを指しているのか必ずしも明確ではありませんが、レコード会社が音源の制作やプロモーションにかけられる金額のことを指していると思われます。こうした費用はだいだい全体の2割程度といわれていますので、1200円のシングルCDが3万枚売れたと仮定すると、720万円程度の経費を確保できることになります。ここである程度、余裕が出るようであれば、レコード会社としては次の作品に費用を回そうかと考えるので、アーティストとしては非常に望ましい状況になるわけです。

ダウンロードでは儲からず、ライブで利益を捻出

 ところがダウンロードの価格は1曲250円程度です。2曲売れたと仮定しても、CDの半分以下の売上しかありません。この中で関係者が利益を分け合うことになりますから、スガさんが主張するように制作費を確保できず、次のリリースのメドが立たないという事態は容易に起こり得ます。プロの音楽家は、音楽で生計を立てていますから、次の作品を出すメドが立つか立たないかは、極めて重要なことなのです。

 現在、音楽業界ではダウンロードでは利益が出ないため、ライブなどのイベントで利益を捻出するというやり方が主流になっています。レーベル大手のエイベックスも、CDやダウンロードの販売よりも、ライブなどその他事業の売上げが上回っています。

 一方、業界では「打ち込み」と呼ばれるコンピュータ音源を駆使した制作手法の普及で、音源制作費用も劇的に安くなっています。場合によっては1つのシングルが20万円くらいの費用で出来てしまうこともあり、これがダウンロード販売を後押ししている面もあります。しかし、スガさんが取り組む音楽は、ソウルという独特のジャンルであり、スタジオで楽器を使い何度も録音を繰り返す必要があります。このため、音源の制作費用が高くなりがちという事情もあるようです。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:1月31日(日)3時19分

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