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アメリカで規制される「トランス脂肪酸」、日本でも規制すべきか?

THE PAGE 2015年6月20日(土)7時0分配信

 アメリカの食品医薬品局(FDA)が16日、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」の発生源となる油の食品への使用を、2018年以降原則禁止すると発表した。日本の加工食品にも含まれているトランス脂肪酸だが、日本でも今後規制すべきなのだろうか。

トランス脂肪酸とは?

 トランス脂肪酸には牛肉や羊肉、乳製品などに天然で微量に含まれるものもあるが、規制の対象になるのは、液体の植物油に水素を加えて固体化する過程で人工的に作られるもの。マーガリンやファットスプレッド、ショートニングに含まれるほか、これらを原料にしたパンやケーキ、クッキーやドーナツなどの洋菓子類、スナック菓子、生クリームなどにも含まれている。

 トランス脂肪酸をめぐってはこれまで、世界各国で健康への影響が研究されてきた。2010年の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の報告書では、トランス脂肪酸が虚血性心疾患の危険性を高めることや、メタボリックシンドロームや糖尿病、心臓突然死のリスクを増やす可能性が高いと指摘されている。このため、WHOはトランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えることを勧告している。

 アメリカでは1994~96年の調査で、成人のトランス脂肪酸の平均摂取量が総エネルギー摂取量の2.6%に達しており、健康への悪影響が問題視されてきた。FDAは今回の決定について公式HPで、トランス脂肪酸の原因油脂の使用は「一般的に安全と認められない」と結論付け、今回の規制により「冠動脈疾患を減らし、毎年数千の致命的な心臓発作を防ぐことが期待される」としている。

日本でも規制すべきか?

 トランス脂肪酸の過剰摂取が問題とすれば、日本でも規制をすべきなのだろうか。内閣府食品安全委員会が2012年にまとめたトランス脂肪酸に関する評価書では、海外の研究結果で冠動脈疾患の発症の増加や肥満、アレルギー疾患などが確認されているとしつつ、「現時点の平均的な日本人の摂取量において、これらの疾病罹患リスク等と関連があるかは明らかでない」との立場を取っている。

 2008年の農林水産省の調査では、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は総エネルギー摂取量の約0・5%。内閣府食品安全委員会の担当者は「アメリカと日本とでは摂取量がかなり違い、日本人の通常の食生活では影響はほとんどない」と説明する。現在日本では食品中のトランス脂肪酸の含有量について表示義務もないが、「国民の健康への影響があるとはいえず、すぐ見直す必要はない」とした上で、「企業側が食品の成分を分析したりラベルを変えたりする新たなコストもかかってしまう」と、規制強化に消極的な姿勢をみせる。

 一方、内閣府消費者委員会の食品表示部会で委員を務める、JA全農の立石幸一食品品質・表示管理部長は、「国が示している日本人の摂取量は、あくまで平均値。一箱で(総エネルギー摂取量の)1%を超えるお菓子もあるし、若い世代では1%の摂取量を超える食生活をしている人もいる。そういう人たちを放置していいのか」と疑問を投げかける。立石部長は「トランス脂肪酸について日本では危険性がほとんど知られておらず、まずは食品に含有量の表示を義務化することで、消費者自身が選択し、判断できるようにすべきだ」と主張している。

(安藤歩美/THE EAST TIMES)

最終更新:2月23日(火)2時47分

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