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通説覆す、無精子症でも赤ちゃん 112人の誕生に成功 福岡のセントマザー医院

西日本新聞 1月12日(火)11時12分配信

 不妊の原因の一つで、精巣で精子がつくられない非閉塞(へいそく)性無精子症であっても精子に成熟する前段階の「前期精子細胞(円形精子細胞)」を精巣から採取して体外受精を安定的に成功させられることを、セントマザー産婦人科医院(北九州市、田中温院長)が実証し、その仕組みなどを米科学誌PNAS(ピー・エヌ・エイ・エス)に発表した。「同症の男性の精巣内には前期精子細胞は存在せず、不妊治療は第三者の精子を使うしかない」とされてきた通説を覆す成果で、不妊に悩む夫婦への新たな福音となりそうだ。

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 前期精子細胞は、精巣内で精子のもととなる精祖細胞が2回、減数分裂してできる細胞で、成熟すると精子になる。
 1996年にフランスで前期精子細胞を使った体外受精で世界初の出産例が報告された。だが、精巣内において、受精能力のある前期精子細胞を他の細胞と見分けることが難しく成功率が非常に低かったため、非閉塞性無精子症の男性が赤ちゃんを授かるには、第三者の精子を使った非配偶者間人工授精(AID)しか治療法はないとされてきた。こうしたこともあり、非閉塞性無精子症の男性の精巣内に前期精子細胞は存在しないという説が主流だ。
 田中院長によると、核膜の状態などから受精能力を持つ前期精子細胞を見分けて採取する技術を確立。電気刺激を与えて卵子を活性化させる手法も併用して成功率を高めたという。

112人の赤ちゃんを誕生させることに成功

 前期精子細胞を使った体外受精(顕微鏡下)が厚生労働省の登録臨床試験に承認された2011年9月から14年12月までに、同医院は前期精子細胞を用いて112人の赤ちゃんを誕生させることに成功。うち14人は、別の医療機関で「不妊治療をするには第三者の精子を使うしかない」とされた男性から前期精子細胞を採取して出産にこぎつけた例という。
 非閉塞性無精子症をめぐっては、米ハワイ大の柳町隆造教授が、精子の成熟過程で遺伝子異常が起きると成長は前期精子細胞のレベルで止まる可能性があるとの仮説を唱えていた経緯があり、今回、それが臨床的に証明された格好。田中院長は「非閉塞性無精子症でも、第三者の精子を使わずに不妊治療できることを世界の医師と患者に知ってほしい」と話している。

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最終更新:1月12日(火)15時44分

西日本新聞

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