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検疫の産地負担課題 指導者育成こそ重要 輸出促進、人材育成で自民骨太PT

日本農業新聞 2月11日(木)14時0分配信

 自民党は10日、農林水産業骨太方針策定PT(委員長=小泉進次郎農林部会長)を開き、輸出促進と経営感覚を持った人材育成をめぐり議論した。輸出では検疫基準を満たすための産地の負担が大きいといった訴えがあった。人材育成では、まず指導者を育てる必要性を指摘する意見が上がり、青年就農給付金の在り方については賛否が分かれた。

 輸出促進を議論した会合では、アジアを中心に海外で食品スーパーを展開するイオンリテールが取り組みを紹介。JA全農あおもりと連携し、昨年から輸出解禁となったベトナムの店舗でリンゴを販売したことを説明した。昨年は22トンを輸出したが、今年はその5倍程度の需要があるとみる一方、検疫基準を満たすため、園地の事前指定やベトナムの検査官のチェックも必要で「産地に負担がかかるので体制が整うか不安だ」と述べた。

 ベトナムで1個400~600円で販売したとの同社の説明に、出席議員からは「農家の所得が増えなければ輸出の意味がない」など、仕入れ価格を問う声が相次いだ。同社は産地と協議し1個200~400円程度で仕入れていると説明した上で、あらかじめ必要数量を産地に伝えるため、販売の見通しが立つメリットがあると強調した。

 日本で輸入食品のマーケティングを手掛けるフランス企業の「SOPEXA JAPON」は、「ワインなど文化的な要素が多い産品は、相手国に浸透するには時間がかかる」と指摘。輸出先国の事情を熟知する地場の小売業などと密に連携して、販売戦略を立てる必要があると強調した。

 小泉部会長は日本の国内需要は減少が続くと指摘した上で、「国内だけ見ていては農林水産業の発展はない」と、重ねて輸出の意義を強調した。

 人材育成を議論した会合では、農業教育に携わる民間事業者や学校の教員らから聞いた。

 農産物の生産・販売だけでなく、インターネットを活用した農業経営教育にも取り組む山梨県中央市の(株)サラダボウルの田中進氏は「人を育てるのではなく、人を育てられる人をどう育てていくか」が重要だと指摘。自社で学んだ人材が各地で農業生産法人を立ち上げていると報告した。

 京都市の(株)マイファームの西辻一真氏は、自社で運営する社会人向けの週末農業学校「アグリイノベーション大学校」について紹介した。就農した卒業生の野菜を同社が買い取り販売するなどして支援。2011年から今年1月まで、30代後半から40代前半を中心に多様な業界から604人が入学し、卒業生の25%が就農、35%が就農・起業の準備中だという。

 日本農業経営大学校の堀口健治校長は、農業教育は伝統的に生産者としての能力を育てる教育だったが、MBA(経営学修士)のような経営力の教育が重要だと強調した。

 青年就農給付金の在り方も議論となった。堀口校長は給付金で同校の授業料や寮費を賄う学生が多いとして「大きな支えになっている」とした。岩手大学農学部の児玉勝雄特命教授や、熊本県立農業大学校の古場潤一校長らも「就農の後押しをしている」などと支持した。一方、田中氏と西辻氏は給付金で「甘え」が生じる可能性も指摘した。

日本農業新聞

最終更新:2月11日(木)14時0分

日本農業新聞