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「元少年A」写真掲載が波紋 どこが問題なのか?

BuzzFeed Japan 2月19日(金)16時35分配信

「元少年A」の住所特定の動き

インターネット上で、 1997年に神戸市で起きた連続児童殺傷事件の加害者「元少年A」がどこに住んでいたのか、特定する動きが起きている。きっかけになったのは、2月18日発売の週刊文春だ。【石戸諭、渡辺一樹】

同誌は「元少年A」の生活の状況を描写し、目線を入れて背景をぼかした写真を掲載している。その意義について、同誌はこう説明している。

「医療少年院を退院したとはいえ、彼は出版物を自ら世に問い、ベストセラーの著者となった人物である。彼の著書に影響を受ける”信者”も少なくない。もちろん素顔や現在の名前をさらす記事が許されるべきではないが、一方で純粋な私人とは、とても言えないのではないか」

一方、インターネットでは、報道後に「住所ほぼ特定」などといった書き込みが出回った。

問題について、「この報道で、インターネット上で住所特定が進むのは当たり前」と懸念するのはネットの書き込みと法律の関係に詳しい深澤諭史弁護士だ。

深澤弁護士は「報道自体の問題と、書き込みの問題をわけて考える必要がある」という立場だ。

「一般的な犯罪報道や今回の報道でも、少年法における更生のありかた、犯罪被害者が抱える思いをテーマに、元少年Aについて書くことは『社会の正当な関心』に応えるということで許容されると考えられます」と報道に対して一定の理解を示す。しかし、問題はその先にある。

「住所が特定されるような書き方はどんな公人、著名人であっても社会の正当な関心とは言いにくい。プライバシー侵害が成立する可能性があります」

問題提起の際、住所がわかるような情報を盛り込むことはどこまで許容されるのか。

「一つ、一つはささいな情報であってもつなぎあわせれば、この時代では特定が可能になります。大まかなエリア(××区や××地区レベル)で住所特定が可能になる場合、プライバシー侵害にあたるとされてもおかしくない。週刊誌だけでなくネットユーザーも対象になります。特定しようとネット上に書き込んだり、情報を広めることも同様です。雑誌に書いてあったから、みんなが書き込んでいたからという言い訳は通用しません」と強調する。

深澤弁護士は問いかける。

「インターネットは公開の場です。公開の場でお前の居場所を突き止めるぞ、ということが許容されるかといえば、許容されない可能性が高い。表現の自由とプライバシーの線引きは常に明確ではなく、時代時代に応じて変わっていきます。社会の問題関心に応えるという報道機関の役割と、その問題提起をするのに必要な情報をどこまで書くのか。ネットを含め、常に問われるべき課題なのです」

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最終更新:2月19日(金)19時1分

BuzzFeed Japan

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