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「元少年A」写真掲載が波紋 どこが問題なのか?

BuzzFeed Japan 2月19日(金)16時35分配信

少年法との関係は?

少年法は、元少年Aのような「犯罪少年」について、「氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等により」その人が事件を起こした少年だとわかってしまうような記事・写真を「新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と定めている(少年法61条)

大島義則弁護士によると、こうした報道は「推知報道」と呼ばれ、少年が成人に達した後も禁止されている。

週刊文春が今回出した元少年Aの記事は、少年法61条が禁じる推知報道に当たるのか。大島弁護士は、推知報道の基準を示した、ある最高裁判例を引用する。

「少年法61条に違反する推知報道かどうかは、その記事等により、不特定多数の一般人がその者を当該事件の本人であると推知することができるかどうかを基準にして判断すべき」

つまり、報道を見た一般人が、本人を特定できるかどうかがポイントになるわけだ。週刊文春は、目隠しの本人写真は掲載しているが、実名を書いたわけではない。この点はどうだろうか。大島弁護士は、簡単に結論は出せない問題だとする。

「この記事だと、本人と面識のない人は、本人が元少年Aだと特定することができないという議論もありえます。その一方で、目隠しの全身写真を見た一般人が彼を見かけた場合、本人を識別しうるという考え方もあり得るでしょう。また、現代のネット社会では、大勢のユーザーが互いに協力・分析した結果、元少年Aの身元を割り出すことに成功してしまう可能性もあります」

元少年Aは、事件について『絶歌』という本を出版したほか、ウェブサイトを開設するなど、わざわざ「自分が元少年Aだ」と宣言している。こうした点は考慮されないのだろうか。

大島弁護士は「ネット社会における匿名性保護のあり方については、これから議論をすべき問題」だとする。

「元少年Aは本やウェブサイトでは『自分が元少年Aだ』と宣言していますが、『リアル世界の本人』=『元少年A』と結びつけることをあえて避けています。そのため本やネットでの発言をもって、少年法61条によって享受している匿名性保護の利益やプライバシー権、肖像権等が放棄されたとまでは言いにくいでしょう」

「一方で、少年法61条を前提にしたとしても、元少年Aが成人後に起こした出来事に関する事件報道は、表現の自由の観点から制限を受けるべきではない、というような意見もありうるでしょう。ポイントは、報道機関の表現の自由と少年の更生、名誉・プライバシーとの利益衡量(バランス)です」

「日本では匿名で民事訴訟をすることが認められていませんから、元少年Aが匿名のまま、メディアや個人を名誉権・プライバシー権侵害で訴えることができません。この点にも留意する必要があります」

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最終更新:2月19日(金)19時1分

BuzzFeed Japan

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