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【福岡スタイル】夜のごみ収集で市民満足度97%超

qBiz 西日本新聞経済電子版 3月8日(火)11時0分配信

 福岡市で生活を始めてまず驚くのは、ごみ収集のルールだろう。「ごみは日没から夜12時までに出してください」。市ホームページには、こう記されている。全国20政令市のうち、全市域で夜間収集を行うのは福岡市だけなのだ。出勤時、カバンを脇に抱えてごみ袋を持つ、朝のお父さんおなじみの光景は、この街ではお目にかかれない。

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 ■朝の臭いなし、高い満足度

 市によると、夜間収集が徹底したのは高度経済成長のさなかの1961年ごろ。モータリゼーションの幕開けとともに、「交通渋滞を避けるため導入した」という。

 思わぬ効果もあった。まず、ごみの散乱が少なくなった。夜は、袋を漁って散らかすカラスが眠っているからだ。約190台のパッカー車が夜、街を駆け巡ることで、防犯・防災にも役立っているという。生活者としては、朝、ごみ置き場の腐敗臭で憂鬱にならないですむのが一番うれしいことかもしれない。

 課題もある。深夜から夜明けにかけての特殊業務のため、コストがかさむ。作業員の深夜手当は年間約6億円にも上る。ただ、2015年度の市民アンケートでは、夜間収集の満足度は「97・3%」という人気。街の魅力を高める意味で、市は「やめられない」という。

 以前は、作業員の「オーライ」のかけ声に、「うるさい」と苦情が出ることもあった。しかし現在は、なんと車の後部に集音マイクを取り付け、作業員が運転手とやり取りしているそうだ。驚くべき気遣いではないか。

転入者に配慮、分別は4種類のみ

 収集の方法も、至れり尽くせりと言っていい。

 道が狭くてパッカー車が入れない地域や集合住宅を除き、一戸建て住宅は一軒ずつ、玄関先の路上に出されたごみを集める。その数、約24万カ所。「お年寄りや体が不自由な市民への配慮」というが、誰のごみか明確になるため、「不分別の抑止につながる」という。

 分別はおおざっぱだ。「燃える」「燃えない」「空きびん・ペットボトル」「粗大」の4分類しかない。リサイクルしやすいように細分化している都市も多いが、福岡市は「転入者が多いため、分かりやすいルールが必要」と判断。収集後に処理施設で9分類に選別している。

 不燃物は月1回しか収集しないので注意が必要だ。タイミングを逃すと、ベランダがごみスペースになりかねない。指定のごみ袋はスーパーなどで購入でき、袋に入らない粗大ごみは有料。申し込み、問い合わせは粗大ごみ受付センター=092(731)1153。

 ■お父さんの「任務」は全国共通

 ごみ捨てはお父さんの役割という家庭も多いだろう。転勤で千葉県から家族で福岡市に引っ越してきた40代の会社員男性は「ごみ出しの日の夜は2度帰宅するんですよ」と首をすくめる。

 夜、仕事を終えて家に帰ると、玄関にはドーンとごみ袋が二つある。男性は、カバンをごみ袋に持ち替えて、きびすを返して外へUターン。ごみを出し終え、再び帰宅するのだという。

 制度は変われど、お父さんの「任務」は全国共通。時間が朝から夜にシフトするだけなのかもしれない。

西日本新聞社

最終更新:3月8日(火)11時0分

qBiz 西日本新聞経済電子版