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「意識高い系」の起源を探る 元は褒め言葉、いつから悪口に? リーマンショックとSNSが生んだ「炎上」

withnews 3月29日(火)11時21分配信

 本来は褒め言葉だった「意識高い系」が、なぜ他人を攻撃する言葉になったのか? 2011年、「意識の高い学生」と呼ばれる面々と、彼らを嫌う学生たちとの討論イベントが企画されました。当時の仕掛け人は「『意識高い系』には、突っ込まれても仕方がない甘い面があった」と語ります。世界経済やインターネットの発展と強く結びついた「意識高い系」の移り変わりをたどります。(朝日新聞社会部記者・原田朱美)

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アグリー・エビデンス・コンテクスト…

 LINEの人気スタンプに「意識高い系になれるスタンプ」というシリーズがあります。小生意気なキャラクターが「それ欧米じゃ通用しないよ」といったセリフをドヤ顔で吐いています。アグリー(同意)、エビデンス(証拠・根拠)、コンテクスト(文脈)と、はやりのカタカナ語もたくさん。たしかにいますね、こんな人。

 作ったのは、北海道小樽市のデザイナー中村圭一さん(34)です。「意識高い系になれるスタンプ」は、2016年1月末時点でシリーズ計4万5千セットがダウンロードされたそうです。

 ここまで広まった「意識高い系」ですが、元になった「意識が高い」とは、本来は褒め言葉です。なぜネガティブに転じたのか、そこには2つの「事件」がありました。

不況の焦り、SNSに向かう

 始まりは、常見陽平著「『意識高い系』という病」(ベスト新書)に詳しく書いてあります。今から10年ほどさかのぼる2000年代半ば、就活用語のひとつとして、「意識の高い学生」という表現が使われるようになりました。この時点では「能力が高く、知識も経験も豊富な優秀な人材」といった本来の意味です。企業と学生が集まる就活イベントで、主催する就職情報会社が、参画する企業の採用担当者へのアピール文句として「意識の高い学生が集まります!」などと使われていました。

 ここで、ふたつの事件が起きます。リーマン・ショックと、SNSの登場です。

 08年秋のリーマン・ショックで新卒採用の枠が激減し、学生たちの「意識の高い学生にならねば就職できない」という焦りが強まります。

 同じ年にツイッター(4月)とフェイスブック(5月)が相次ぎ日本でのサービスを開始し、学生の間にも広がっていく。「就活のためにSNSで目立とうとする学生が出てきた」と常見さんはいいます。

 「意識の高い学生」になるべく、企業のセミナーや著名な社会人の講演会に出向いては、その感想をSNSで投稿する。あるいは、「みんなで就活を乗り切ろう」と学生団体を立ち上げ、就活イベントを開いてSNSで発信する。と、並行して「意識の高い学生」への批判が始まります。

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最終更新:3月31日(木)11時40分

withnews