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【連載】会社員が自転車で南極点へ2 プンタアレナスからいざ南極大陸へ

THE PAGE 3/31(木) 18:00配信

チリの最南端にある町、プンタアレナスへ

 2015年12月25日、クリスマス。ラン航空285便で、僕はチリ・プンタアレナスの町に降りたった。到着した時には、19時近かったが、まるで昼のように明るい。チリの最南端にあるこの町は、緯度が高いため、日が暮れるのは深夜になってからだ。ここには、南極大陸の基地を運営するANI社の支部がある。この支部に南極旅行に必要な全ての物資が運び込まれ、輸送機イリューシンによって、大陸へ運ばれるのだ。人も例外ではない。南極を旅行しようとする者は等しくイリューシンの洗礼を受ける。荷物と一緒に、輸送機で「搬送」されるのである。

【連載】会社員が自転車で南極点へ 抱き続けた夢実現への一歩とは

この海の向こうは、もう南極大陸

 空港には、既にANIのスタッフが迎えに来ていた。大きなバンに荷物を詰め込み、市街へ向かって、ひた走る。左には荒々しく波立つマゼラン海峡が見える。

 この海の向こうは、もう南極大陸。人間どころか、ウイルス1匹ですら生存を許さない、「無」の世界が待っている。僕には、この町でやるべきことが2つあった。ひとつは、自転車を組み立てて、数十キロ走ってみること。飛行機の輸送中に自転車が壊れるというのは、よくあることなので、南極に行く前に一度走っておき、もし、壊れているならば、自転車屋に行って修理するつもりだったのだ。


 もうひとつは、ガイドのエリックに会っておくこと。そう!ガイド! ・・・・・・ガイドだ。
これは僕にとって大きな挑戦だった。ここ10年、海外の自転車旅を基本的に独りでしてきた僕が、
協調性の欠片もない僕が! 誰かと一緒に旅をするのだ・・・しかも、男と、だ。 

 実は、会社を説得するために用意した宝刀が「ガイド」だった。世界的に有名な冒険家、エリック・ラーセン。彼が一緒に行ってくれる、という事実は、人事部を大いに安心させたようだ。会社にとって、勝手に冒険されて、そこで怪我をしたり死なれたりするのが一番困るのだ。

 だが、僕は誰かと旅をすることに慣れていないので、不安ばかりが先行していた。自分のスタイルを誰かに壊されるのが嫌だったのだと思う。そこから見えてくるリスクも、わからなかった。

 実際、このリスクは、後に南極点へのアタックの時に最悪の形で顕在化することになる。

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最終更新:9/2(金) 14:37

THE PAGE

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。