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米空軍、磁気浮上式で世界最速を記録 目標マッハ10、何を目指すのか

乗りものニュース 5月7日(土)9時0分配信

米空軍が磁気浮上式の世界最速記録を達成?

 アメリカ空軍は2016年4月14日、ホロマン空軍基地(ニューメキシコ州)第846試験隊の「マグレブ スレッド システム(Maglev sled system)」が、同年3月4日に行われた走行試験において時速633マイル(1018.7km/h)を記録、「磁気浮上式」の世界最速記録を塗り替えたことを発表しました。この数値は、同じく磁気で浮上して走るJR東海のリニアモーターカー(超電導リニア)「L0系」が2015年4月21日に達成した世界記録、603km/hを大幅に上回ります。

 高速鉄道後進国であるアメリカ、しかも空軍が、なぜこのような記録を達成できたのでしょうか。また、何を目的にそれを開発したのでしょうか。

 この「マグレブ スレッド システム」は、電磁石を液体ヘリウムで4ケルビン(摂氏-269.15度)まで冷却することによって得られる超電導現象を利用し、ソリを浮かせる「磁気浮上式(マグレブ)」です。しかしその動力は、軌道上を浮いて滑走するソリの後尾に設けられたロケット。つまり「磁気浮上式」とはいえ、電磁石によって走る「リニアモーターカー」とは大きく異なるものです。実験線の全長は640メートルで、ソリの制御は全て外部から。もちろん、人間は搭乗していません。

目指すはマッハ10 しかし「夢の乗りもの」になる可能性は希薄

「マグレブ スレッド システム」開発チームのモットーは「マッハ10を目指せ」だといいます。マッハ10とは音速の10倍、すなわち地表面において1万2250km/hに匹敵するものです。実用化されたら、まさに「夢の乗りもの」となるように思えるかもしれませんが、その開発を担当する第846試験隊の任務を考えると、残念ながらその望みは「薄い」と言わざるをえません。

 第846試験隊は、新たに開発された航空機搭載システムなどを、実際に飛行する機上で試験を行う前に、地上で高速環境を構築し試験・評価することを任務としており、このため「ホロマン ハイスピード トラック」と呼ばれる約15.5kmの2本のレールと、6.2kmの第三軌条(走行レールとは別に、車両の動力源となる電力を供給する導電レールのこと)を保有しています。

 この「ホロマン ハイスピード トラック」は、ロケットを搭載したソリを最大400Gで加速させることができ、2003(平成15)年4月30日には一種の鉄道として史上最速の1万385km/hを達成。「マグレブ スレッド システム」は、将来的にこの「ホロマン ハイスピード トラック」を置き換えることを目的にしているものと推測されます。

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最終更新:5月10日(火)10時52分

乗りものニュース