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日銀の追加金融緩和の不在は大きな円高のリスクなのか?

ZUU online 5月9日(月)13時36分配信

年初から、グローバルな景気・マーケットの不安定感、日米の金融政策の動向などの影響で、ドル・円の変動が大きくなった。リスクオフによる質への逃避、そして米国の利上げの遅れが意識され、円高の動きとなった。これからのドル・円の動向を考える上で、マクロでのドル・円の決定メカニズムをしっかり認識しておくことが重要だ。

■追加緩和なしでも円高リスクは回避と見る

ドル・円のファンダメンタルズは、マーケットの力と実体経済の力に左右される。マーケットの力は、金融政策の方向性を織り込む日米金利差と、現状の水準ができるだけ維持される慣性で構成される。実体経済の力は、国際経常収支と海外直接投資によるマネーの出入り、そして国内のマネーが膨らむ力(円の供給力)であるネットの資金需要で構成される。

日米金利差は国債2年金利の差、慣性はドル・円の12ヶ月ラグを使う。マネーの出入りは国際経常収支と海外直接投資の差の12ヶ月移動平均の12ヶ月ラグ、ネットの国内資金需要は企業貯蓄率と財政収支の和(マイナスの方が強い)を使う。

ドル・円=72.6+11.21LN(米国2年金利-日本2年金利)-4.1(日本経常収支-ネット海外直接投資、年率、対GDP比%、12ヶ月移動平均の12ヶ月ラグ)-2.36(ネットの国内資金需要、対GDP比%)+0.36(ドル・円、 12ヶ月ラグ)、R2= 0.87

このマクロモデルでのドル・円の推計値は110円台半ばとなっている。110円弱の現状の水準は、リスクオフによる質への逃避、そして米国の景気の弱さや利上げの遅れを過度に織り込んだオーバーシュートであると言える。

4月27・28日の金融政策決定会合で日銀は追加金融緩和には踏み切らなかった。しかし、リスクオフによる質への逃避や米国の利上げの遅れの過度の織り込みが修正されていけば、日銀の追加金融緩和の不在が大きな円高のリスクとなることはないだろう。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

最終更新:5月9日(月)13時36分

ZUU online