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高金利は魅力だが、政治的・地政学的リスクも考慮が必要 トルコ・リラ

THE PAGE 5月12日(木)7時0分配信

インフレ顕著で高金利だが、投資には注意が必要

 トルコ・リラはトルコ共和国の通貨です。トルコは、過去何度も経済危機を繰り返してきましたが、国際通貨基金(IMF)が主導した2001年の構造改革によって成長軌道に乗り始めました。05年には欧州連合(EU)加盟をめざした交渉が始まり、トルコは有望市場として注目されるようになります。しかしトルコは国内政治が成熟しておらず、民主化が進んでいません。最近ではEU加盟を疑問視する声が欧州内から出てきており、雲行きが怪しくなっています。

 トルコ経済は以前からインフレが顕著となっており、トルコの金利は常に高めに推移するという特徴があります。1990年代は数十%という猛烈な物価上昇が続き、IMFによる構造改革以後も1ケタ台後半のインフレ率が続いています。長期にわたる物価上昇を背景に、トルコの金利は現在7%台となっており、他国との金利差に着目してトルコ・リラに投資する人も少なくありません。

 ただ、こうした高金利は基本的にインフレ懸念とのトレードオフですから、金利にだけ着目するのは少々危険です。これに加えて、トルコには政治的リスクや地政学的リスクが加わりますので、投資に際しては慎重なスタンスが必要でしょう。

エルドリアン大統領のメディア弾圧、シリア問題も懸念材料

 トルコは大統領を国家元首とする共和制の国ですが、議員内閣制を採用しており、大統領には強い権限はありませんでした。しかし長期にわたって首相を務めたエルドアン氏が、大統領選に出馬し当選したことで状況が大きく変わりました。エルドアン氏は、大統領の権限を大幅に強化する新憲法の制定を望んでおり、これに対して慎重な姿勢を示すダウトオール首相を辞任に追い込みました。

 エルドアン氏は自身に批判的なメディアを弾圧したり、政権批判を封じるためSNSへのアクセスを遮断するなど、非民主的な言動が目立ちます。欧州各国の中からは、このままの状態ではEU加盟は難しいとの意見も出てきており、今後の状況は非常に流動的です。

 また歴史的な経緯からトルコとロシアは利害関係が対立しており、これがシリア問題を複雑にしています。一方、これだけの問題を抱えながらも、トルコは欧州とイスラム社会の架け橋として重要な役割を果たしているのも事実です。特に難民問題ではトルコが最大のバッファーになっていますから、欧州社会もトルコを無視することはできません。当分の間は、トルコ・リラの下落が意識されながらも、現状維持が続くことになるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5月12日(木)18時4分

THE PAGE