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コイニー「金融×ITの新しい『あたりまえ』を作るために求めるもの」

ZUU online 5月10日(火)15時10分配信

「業界全体で人材が不足している」と言われるFinTech。金融×ITを活用した新たなサービスや製品の提供による革新を、スタートアップが中心になって進めているが、人材難という側面もあるのだ。

ITについての知見やノウハウだけでなく、厳しい規制にも向き合わなければならない一方で、技術にも社会にも目配りできる組織の構築が急がれる。海外では流動的な人材が行き来する一方で、雇用慣行の違いなどから、日本では優秀な人材がスタートアップにはなかなか移らない傾向もあると言われており、共通の課題となっている。

実際、次のイノベーションのタネと目され、FinTechのバズワード化の様相も呈していた一方で、ビジネスや事業となるには課題は山積。そんなFinTech企業にとって、真価を問われる時代に、必要なのはどんな人材なのだろうか。

大きなこの疑問に今回、答えるのは、モバイル決済システムの開発、提供を手掛けるコイニー株式会社。同社の井尾慎之介取締役FinTech事業開発担当にFinTech企業で働くこととは、またFinTech分野で求めている人材についてお話しを伺った。求める人材像について紹介する。

■ファイナンスの「厳しさ」と、ネットの「ユルさ」が特徴のコイニー

まずは井尾氏を簡単に紹介しよう。同氏はペイパルで働いた経験を持ち、同社でコイニーの佐俣奈緒子代表取締役社長と出会ったという。井尾氏自身は、富士通でのプロダクトマーケティング職や、マイクロソフトでのマーケティング職を経験し、テクノロジー企業のスタートアップなどを経験し、ペイパルやテスラといった先進的な会社で働いた経歴を持つそうだ。

その井尾氏に、「FinTech企業で働くこと」や「活躍できる人材」について尋ねる前に、まず業界の特徴を説明してもらった。同氏によれば、モバイル決済システムを提供するということで、コイニーは、フィナンシャルサービスを作る上での制限が大きく、セキュリティやコンプライアンスの対策にも、より厳密な取り組みが求められる。

他方で、同社は、自社をあくまで「テクノロジー企業」だと位置付けていることから、ITやインターネット企業に似ており、和やかな雰囲気だという。オフィスのロビーにはDJブースも設置されており、社員が集まりパーティーを催すこともあり、「テクノロジーベンチャーらしい」側面を象徴しているといえそうだ。

またコイニーの「理想の組織」にもそうした姿勢がにじみ出ており、井尾氏は「とにかく指示を少なくし、指示のない組織になっていこうとしている」と話す。ルールに従って動くのではなく、社員それぞれが自分の考えで動いていく。そんな組織が理想だという。結果として、縦に大きな組織にならず、ボトムアップで意見が出され、それを救い上げていく仕組みを整備していく方向に向かっているということだ。

■「既存のルールにとらわれない」、規格外のアプローチはプラス評価

では、モバイル決済という新しい分野を切り拓いてきた1社ともいえるコイニーが求める人材とはどのような人物像なのか。その点をさらに追いかけてみよう。

自社をインターネット企業だと位置付ける一方で、金融分野の厳しい規制のカベを乗り越えるには、なんでもできて、イノベーションを起こしまくる「スーパービジネスマン」のような人材がフィットするのかと思いきや、どうやらそうではなさそうだ。

井尾氏によれば、「既存のルールにとらわれない」人材の評価が高いという。その前提は比較的、ゆるやかながら、しなやかな継続性を持つインターネットの特徴は個人の影響力を拡大する一方で、既存の厳しいルールとは相反する部分残ることだ。その中で、新たなサービスを実現していくために、「ゼロベースで考えられる」ことが大切だという。

さらに同氏は、「コイニーにも決済畑出身の人はほとんどおらず、基本的にWebサービスや、通信といった、ぜんぜん別の産業から来ている人が多い。『こうあるべき』というものを作るのが正しい。今あるものと連携するということもあるが、あるべき姿に対して、巧く手段を使ってもらいたい」と話す。

また「既存のルールは知らないくらいでいい。ルールや法律を知っていると『あれはやりたいけど、ルールがあってできない』などと、自分で可能性を制限してしまう。そこで、既存のルールを知らないというのは、使い方によっては『強み』になる」と同氏は解説しており、当たり前とされている慣習を作っていけるような人材に、活躍の場があると言えそうだ。

■最後の分かれ道は「フィーリング」

「既成概念」に捉われない。いわば金融の規格外の人材を求めているともいえるコイニーだが、実際の採用やパフォーマンスの管理についてはどうだろうか。和やかな雰囲気で働いているとはいえ、採用はどのように行われているのだろうか。

井尾氏は、採用を進め、人員を拡充したい領域でもあることから「営業、マーケティング、ビジネス開発などの担当者とは全員会って」いるという。エンジニアに対してはケースバイケースで、現場のマネージャーに任せることもあるが、およそ8割は顔を合わせており、「なるべく多くの候補者に会うようにしている」(井尾氏)とのことだ。

またコイニーの採用の文化は興味深く、できるだけ「ラクできるか」という点も重視しているという。が、その狙いは印象とは正反対だ。井尾氏は「もともと外資系企業で働いていたこともあり、自分より高いスペックの人を採用しようとしている。性善説で動いており、『デキる』人を求めている」と話す。

ただ、同社の採用プロセスの最後では、フィーリングもチェック。同氏によれば、社長の佐俣代表取締役の面接の後に、若手社員に会ってもらい、気持ちよく働けそうかどうかを確認しているという。その場で会話をしてもらい、実際の雰囲気を感じてもらうことで、気持ちよく働けるかどうかの見極める機会を設けているということだ。

「社長面接の後の、現場の社員と会って、辞退された例もある。自然と会話を続けられる&チームとして働けるかどうかも体感してもらっている」と井尾氏は実状を語っており、同社がどのように組織体制を整備するのかについても注目する価値がありそうだ。(FinTech online編集部)

最終更新:5月10日(火)23時54分

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