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「日本の子どもの6人に1人が貧困」 キミならどう解決する?

リクナビ進学 5月10日(火)21時34分配信

日本で年々深刻になる「子どもの貧困」

今、日本の子どもの6人に1人となる約300万人以上の子どもたちが貧困状態にあると言われている。(※)

ここでいう貧困とは「標準的な所得の半分以下の所得しかない世帯」のこと。

日本では「2人世帯で177万円、3人世帯で217万円、4人世帯で250万円を下回る世帯」が「貧困状態」となる。

日本の場合、ひとり親世帯の子どもの貧困率は特に高く、2人に1人は貧困状態。月平均13万円以下の所得しかない家庭で暮らしている。

そんななか東京都八王子市の「首都大学東京」が、2015年11月に「子ども・若者貧困研究センター」を設立した。

これは、日本で初めての貧困を専門とする研究センターだという。いったいどんな目的で設立され、どんな研究を行っているのだろうか?

同センター長の阿部彩先生にお話をうかがった。

今までの学問分野を超えて、解決策を考えるための拠点に

日本が高度経済成長を遂げ「一億総中流社会」といわれた頃から「日本に貧困はない」という考えが広まり、いまだにその名残がある。

このため日本では「貧困研究」は、まだ専門的な学問領域として確立していないという。

「たとえば家庭が貧しく、ろくにお風呂に入れない子どもが、同級生に『臭い』といじめられるなど、いじめ問題と貧困問題は密接に関係しています。

ところが日本ではいじめをテーマにした研究は数多くあっても、いじめと貧困の関係を探る研究はあまりありません。また貧しくてごはんを十分に食べられないことが健康状態の悪さや学力の低さに結びつくことは、当然ありそうですが、その関係性を研究する人がいません。

貧困問題はいろいろな問題が関わりあっているので、今までの学問分野の枠を超えて広い視野を持って研究し、解決策を考える必要があります。本センターではまさにそれを目指し、異なる学問分野の研究者が合同で研究したり、情報を共有したりする場にしたいと考えています」

同センターのメンバーの一人は、生活保護家庭の子どもへの大学生ボランティアによる学習支援の状況をテーマに研究している。

ここに来るのは中学生でもアルファベットが読めない、九九が言えない、分数の足し算ができないという子たち。

彼らは支援を受けることで、学力が上がるだけではなく、1対1で親身に接してもらう経験を通して自己肯定感が高まる、大学生に憧れて進学意欲が芽生えるなどの変化が見られるそうだ。

「こうした活動による貧困家庭の子どもの変化について検証し、エビデンス(科学的根拠)を示すのが、本センターの使命です」

と阿部先生。

貧困研究に必要なのは、貧しい人への思いやりと数字を読み解く力

「貧困研究に興味のある高校生に今からつけてほしい力は大きく2つ」と阿部先生。

1つは貧しい人の状況を思いやり、自分がいかに恵まれているかを客観視する力。
貧困でない人は貧しい人と接する機会が驚くほど少ない。

このため、「今日食べるご飯がない」「九九が言えない」という状況がどういうことかわからない。

その「わからなさ」を乗り越え、貧しい人を思いやり、相手の立ち場に立つ想像力を持つことが大切だという。

もう1つは統計データなどから数字の意味や数字同士の関係性を探す力。

たとえば小学校の学童保育は18時には終わってしまう。でも貧困家庭の子どもは学童から家に帰ると21時頃まで一人で過ごしている現状がある。

そのことを統計データから読み取り、エビデンスとして示せれば、学童保育を21時まで延長することがなぜ必要なのかを政府などに主張できる。

貧困研究では統計データを読み込む作業がとても多く、そして大切なのだという。

努力ではどうにもならない苦境にいる人に無関心にならないで

阿部先生は「とにかく一人でも多くの人に日本の貧困問題について知ってほしい」という。

「ニュースなどで取り上げられたら、ちょっと注意して見聞きし、どんな状況で苦しんでいる人がいるのか、知ってほしい。そしてその人の立場に立って、想像してほしいですね」

また若い人は「今の状況にあるのは自分の責任だ」と考えがち。たとえば東京大学に合格した人は自分が頑張ったからだと思うだろう。

「もちろん努力もしたでしょうが、努力できる環境に置かれていることがどれだけ恵まれているかに気づいてほしいですね。勉強したくてもすることができない家庭に生まれた同年代の若者がたくさんいるのですから」

貧困問題については「自分には関係ない」「どうしようもない」と無関心になることが最もよくないそうだ。

「自分に何ができるのかを考えてください。たとえば公務員になって政策に反映しようという人から、募金をしようという人までいろいろだと思いますが、18歳選挙権がスタートする今、投票に行くだけでも大きな意味があります。貧しい人を助ける政策を実行してくれる政党はどこか、と考えてみるだけでも意味があると思いますよ」

日本での貧困研究の拠点として精力的な活動を始めた「子ども・若者貧困研究センター」。

貧困について興味のある人、貧困問題を解決したい人は、同センターの活動にも注目してほしい。

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(※)厚生労働省「国民生活基礎調査2012年」の「子どもの相対的貧困率」より。

リクナビ進学

最終更新:5月18日(水)21時52分

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