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社説[学校空調補助廃止]事前説明なく一方的だ

沖縄タイムス 5月11日(水)5時0分配信

 騒音が軽減された事実もないのに、補助金を廃止するのはおかしい。しかも自治体の意見を聞くこともせず、事後の通告である。
 防衛省は、航空機など米軍と自衛隊基地の騒音対策として実施している小中高校や幼稚園、保育所の空調(エアコン)の維持費の補助を一部打ち切ることを決めた。
 同省の「防衛施設周辺防音事業補助金交付要綱」の変更によるという。
 防衛省はうるささの度合いに応じて独自に1~4級の基準を定めている。このうち2016年度以降に設置・更新する3、4級の空調について維持費の補助を廃止する。
 このままだと県内では12市町村の108校が補助対象から外れそうだ。15年度の補助実績は2億1800万円である。全国では262校が該当するが、県内はそのうち4割を占め、影響が大きい。
 防衛省は「厳しい財政事情のため」と説明するが、説得力がない。というのは、16年度の防衛省予算は初めて5兆円を超えているからだ。
 政府は、県民の大多数が反対する辺野古新基地に膨大な予算をつぎ込む一方で、教育環境の整備はないがしろにしている。突然の補助の廃止は新基地建設が思うように進まない政府の「嫌がらせ」ではないかとの声が自治体関係者からは漏れてくる。
 補助の目的は「航空機による騒音の障害を防止、軽減するため」である。基地が存在するが故の被害であり、子どもの学習権に関わる問題だ。防衛省には基地が教育にどのような悪影響を与えているかの視点が欠けている。
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 補助が廃止される3、4級について防衛省は「騒音などの影響が比較的小さい」というが、本当だろうか。
 防衛省の要綱によると、3級の適用基準は1授業当たり、75デシベル以上が10回以上、または80デシベル以上が5回以上である。4級は70デシベル以上が10回以上である。騒音にさらされるたびに先生の声が聞こえなかったり、授業が中断されたりするのである。
 文部科学省の「学校環境衛生管理マニュアル」によると、教室内の騒音レベルは窓を閉じているときは50デシベル以下、窓を開けているときは55デシベル以下であることが望ましいと定めている。望ましい教育環境からは程遠い。
 オスプレイの配備や外来機の一時移駐などに伴い、市街地での飛行が頻繁に確認され、むしろ騒音の範囲が広がっている可能性さえある。
 沖縄の猛暑を考えれば、空調が整備されないままだと児童・生徒の学習意欲の減退につながらないか心配される。
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 空調の維持費補助の申請に当たっては、防衛省が独自に騒音測定をして認定するかどうか決める仕組みだが、これとは別に県内の各学校は文科省のマニュアルに沿って年に2回、窓を開閉して各5分間の騒音測定をしている。
 だが、この方法では騒音の実態を捉えることはできない。子どもたちの教育環境を守るためにも、県教育庁は県として、飛行ルート下の学校を中心に年間を通じた騒音の実態調査をする必要がある。

最終更新:5月11日(水)5時0分

沖縄タイムス