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辺野古警備は「ブラック」? 拘束15時間半も残業代なし

沖縄タイムス 5月11日(水)11時30分配信

 海上警備の拘束時間は長い。日勤は最長15時間半、当直勤務は基本でも1泊2日で37時間半に及ぶが、それに見合う残業代は支払われていない。マリンセキュリティーの従業員の話を基に、勤務の形を再現する。
 勤務には大きく分けて2種類ある。漁船をチャーターする「警戒船」は日勤のみで、朝出港して夕方に戻る。会社所有のクルーザーなどを使う「警備艇」は複数が海域に常駐していて、1泊2日~3泊4日ほどの当直勤務がある。
 警戒船(漁船)は多い日で30隻借り上げる。辺野古崎から一番遠い出港地は直線で約15キロ離れた金武漁港で、片道2時間近くかかる。ここから出る警備員は沖縄市泡瀬の本社を午前4時半に出発、午前8時~午後5時の現場警備を終えて本社に帰るのは午後8時ごろになる。その後、報告書を提出し業務が終わる。
 拘束15時間半のうち勤務は8時間。実質的に仕事から解放されていない船上の「休憩」1時間と、前後の移動時間6時間半の計7時間半が残業に当たる。辺野古や汀間の漁港は現場に近いが、それでも5時間半の残業が発生する。どの勤務でも日給は9千円。
 やや大型の警備艇に乗る人は午前5時半に会社を出発。日勤を終えると、そのまま当直勤務に入る。夜間も交代しながら警戒に当たり、2時間おきに異常がないか報告する。
 1泊2日の場合、会社に戻るのは翌日の午後7時ごろで、1回の勤務の拘束時間は37時間半に及ぶ。これで受け取るのは2万4千円で、深夜割り増しも計算されていない。
 従業員の一部が残業代未払いを訴えた4月以降、マリン社は本社に寄らず漁港に直行直帰することを認め、漁港-現場間の移動を勤務時間に含めるなどの対策を取った。だが同時に時給換算で賃下げをしたため、日給はほぼ変わらない。

■「典型的なブラック企業」須田光照さん(労働相談センター副理事長)

 年間約8千件の相談を受けるNPO法人労働相談センター(東京)の須田光照副理事長に、マリンセキュリティーの就労実態について聞いた。
 -警備員の一部は月200時間を超える残業を訴えている。
 「全国的に見てもかなり多い部類で、異常だ。国の過労死認定基準80~100時間を大幅に超えている。これでは、睡眠や余暇の時間を削らざるを得ない。こうした状態で基地建設に伴う海上警備という心身の緊張を強いられる仕事を続ければ、過労死が懸念される。典型的なブラック企業と言える」
 -警備業の労働環境の特徴は。
 「実際に体を動かしている時間が短く、待機時間が長い傾向がある。経営者がそこに付け込み、賃金を払わない例がみられる。指揮監督下にあって労働から解放されていない待機時間(手待ち時間)は労働時間に含まれるが、労組がない会社も多く、足元を見られる原因になっている」
 -マリン社の事例は。
 「詳細を把握しないと断定はできないが、会社-現場間の移動は労働時間と考えるべきだ。判例もある。特に漁港-海上の現場間は船の移動で、ほかに手段もない。現場から帰って報告書を提出するのも業務の一環で、当然そこまでが労働時間として認められる」
 -防衛省の責任についてどう考えるか。
 「国を挙げてブラック企業を撲滅しようとしている中、その国の公共事業でこのような劣悪な労働環境が生まれている。防衛省にはこれを正す責任がある」

最終更新:5月11日(水)15時6分

沖縄タイムス