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三菱自、型式指定取り消しの懸念

ニュースソクラ 5月11日(水)11時50分配信

他メーカーの新車発売に影響も、国交省が異例の再試験

 国土交通省は三菱自動車工業が燃費データを改ざんした軽自動車4車種の走行抵抗値を自ら測定し、燃費と排気ガスの再試験を行う異例の措置を決め、5月2日に開始した。今後の焦点は、自動車メーカーが量産に必要な「型式指定」の扱いだ。再試験の結果、排ガス規制などに問題があれば、国交省が4車種の型式指定取り消しという異例の事態に発展する可能性もある。

自動車の型式指定制度はメーカーが新車を生産する際にまず国へ申請し、サンプルの車を提示し安全基準に適合しているか審査を受ける。国は基準を満たす品質を担保できると判断すれば型式指定、メーカーは「右に同じ」ということで、量産できるようになるわけだ。仮に行政処分として型式指定が取り消されると、新車は1台1台、車検を受けなければならなくなり、メーカーは実質的に量産できなくなる。生産・販売するには型式を取り直すことが必要になる。

国交省は4車種のほかに、三菱自が生産する残る9車種についても、データ改ざんがないか確認し、不正があれば国が自ら走行抵抗値を測定する。再試験は独立行政法人「自動車技術総合機構」が行い、6月中に再試験の結果をまとめて公表する。

同機構は自動車メーカーが申請する型式指定の認証が本来の業務。三菱車の再試験が割り込むことで、他メーカーの型式指定の日程に影響が出る可能性があり、国交省は日程調整に頭を悩ませている。国交省によると、複数の自動車メーカーが新型車の発売に向け、型式指定の認証を申請しており、同機構が排ガスなど保安基準に適合するか審査している。国交省は「各メーカーの申請は目白押しで、審査のスケジュールは数カ月先まで埋まっている。今回、三菱自の再試験を行うためには、審査官や試験場所を確保しなくてはならない。各メーカーの型式指定の認証に影響が出ないように進めたい」と話す。

三菱自の走行試験に話を戻すと、問題となった軽自動車4車種については、同機構が走行抵抗値を測り、埼玉県熊谷市のテストコースで走らせるなどして燃費と排気ガスを測定する。本来、メーカーが測定して国交省に提出する走行抵抗値を国が測るのは異例だが、「三菱自は日本ブランドに対する信頼を失墜させた。同社が測定し直して提出するデータだけでは信用できない」(国交省幹部)という判断だ。

再試験によっても、排気ガスが規制値を超えなければ、「リッター何キロ走る」という燃費がカタログ値と異なるだけでは型式指定取り消しとなるわけではないが、排ガス規制に違反している場合はリコール(回収・無償修理)となるのはもちろん、型式指定が取り消しとなる。そうなれば、国内では初めての異常事態。三菱自の経営に与える影響は大きい。排ガス規制に違反していなくても、国交省が三菱自の品質管理に問題があると判断して型式指定が取り消しになる可能性もある。

今のところ、国交省は今回のデータ不正の範囲では排ガス対策のリコールに発展する可能性は低いと見ている。ただ、燃費の数値操作で購入者が軽自動車税などを軽減された分の追加納税を財務省と総務省から求められるのは必至。

三菱自の燃費データ不正問題は、国交省の再試験の結果によっては傷口がさらに広がり、新たな対応を迫られるかもしれない。

ニュースソクラ編集部

最終更新:5月11日(水)11時50分

ニュースソクラ