ここから本文です

学生をめぐる厳しい経済状況 <格差>がさらに広がる可能性が

ベネッセ 教育情報サイト 5月11日(水)16時1分配信

新学期が始まって1か月になりますが、大学の新入生の中には、これからの生活のことを考え、楽しみにしている人も少なくないかもしれません。
しかし各種調査によると、学生をめぐる厳しい経済状況が浮かび上がっているようです。

独立行政法人日本学生支援機構が2年に1度実施している「学生生活調査」の2014(平成26)年度結果によると、学費と生活費を合わせた「学生生活費」の平均額は、前回調査(2012<同24>年度)に比べて1万8,000円(1.0%)減の186万2,100円でした。学費が約2万円高くなる一方、生活費は4万円近く下がっています。一方、仕送りなども含めた学生の「収入」額は、前回調査より2万5,900円(1.3%)も減って、197万1,400円。ますます生活費を切り詰めなければならなくなっているようです。

しかし、家庭の年間平均収入額を尋ねると、前回調査より12万円(1.5%)多い824万円だといいます。アルバイトをしている学生も、前回の74.0%から、今回は73.2%へと、少し減りました。内訳を理由別に見ても、「家庭からの給付のみで修学可能」が4.6ポイント増えて38.3%となる一方、「家庭からの給付のみでは修学不自由・困難」は、5.3ポイント減の35.0%です。

こうした数値を見ると、学生生活は豊かになっていてもよさそうです。しかし、注目すべきは、実際には、「家庭からの給付なし」でアルバイトをしている学生が、6.3%から7.5%に増えていることです。わずかな増加にも思えますが、2002(平成14)年度の調査では2.0%にすぎませんでした。結果を詳しく分析した岩田弘三・武蔵野大学教授は、「経済的にきわめて恵まれない学生層」と、恵まれた学生層の間で、格差が拡大している可能性があると指摘しています。

居住形態別では、当然、「自宅」<「学寮」<「下宿、アパート、その他」と、学生生活費は高くなっていきます。ところが、アルバイトの収入額は、自宅通学生の約36万円に対して、アパートなどで暮らしている学生は約29万円と、7万円も下回っています。

そして、こうした数字が、全国の平均値であるということにも注意する必要があります。実家を離れ、物価の高い都市部の大学に進学した学生は、もっと生活が大変です。東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が毎年実施している「私立大学新入生の家計負担調査」の2015(平成27)年度結果によると、自宅外生で、受験から入学までに掛かった費用は、前年度より5,000円ほど上がって214万円余り。自宅生(約154万円)の1.4倍です。毎月の仕送り額は、前年度比1,800円減の8万6,700円で、そのうち家賃にかかる金額は6万1,200円と、仕送りの70.6%を占めるまでになっています。家賃を差し引いた生活費は、1日当たり850円にしかなりません。

自宅外生の家庭の世帯収入は約901万円で、ここでも前年度より13万円近く上がっています。裕福な家庭が増えたのは確かなようですが、その陰で、不利な家庭環境に置かれた子どもが、希望する学習機会を得られなかったり、アルバイトに追われる学生生活を強いられたりしているとしたら、問題です。平均値だけでなく、困窮している学生や家庭の状況にも、きめ細かく目を配った支援策が求められます。

※2014(平成26)年度学生生活調査
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/2014.html

※東京私大教連 私立大学新入生の家計負担調査 2015(平成27)年度
http://www.tfpu.or.jp/2015kakeihutan-chousa-essence20160406.pdf

ベネッセ 教育情報サイト

最終更新:5月11日(水)16時1分

ベネッセ 教育情報サイト