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第二の古里 南阿蘇のため 力になりたい 実家戻り募金活動 被災した東海大生

日本農業新聞 5月12日(木)7時0分配信

 熊本地震の影響で授業が6月末まで休講となっている東海大学農学部(熊本県南阿蘇村)の学生が、それぞれの避難先で募金を呼び掛けている。村では農学部の学生3人がアパートの下敷きとなって命を落とした他、橋が崩壊し、甚大な農業被害に見舞われた。「僕らにとって南阿蘇は第二の古里。今こそ力になりたい」。募金活動に立ち上がった学生たちの思いは一つだ。

・全国の街頭、駅前で

 16日未明の本震発生を受けて実家に避難した農学部の学生たちが、それぞれの実家近くの街頭や駅前に立ち、募金を呼び掛けている。場所は山形、宮城、東京、静岡、大阪、兵庫、鳥取、広島、高知、佐賀、福岡、鹿児島など各都府県に広がっている。

 「南阿蘇村に残っている人たちのことを思うと、埼玉に逃げてしまったようで罪悪感があった。村のために何かしたかった」と同大学応用動物科学科4年の柴田晃季さん(21)。4月下旬、埼玉県所沢市の実家に避難してまもなく仲間と募金活動を始めた。

 場所は東京・JR新宿駅前。これまで5日間、関東出身の仲間約10人と街頭に立った。身元を証明するため大学の学生証を首から下げ、スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)で撮影した被災地の写真を段ボールに貼ったプラカードも作り、道行く人に呼び掛けた。

 「僕たちも被災者です。南阿蘇村から来ました。復興には皆さんの協力が必要です」。募金は1日40万円程度集まり、全額を同村に寄付した。活動は、授業が再開する7月まで続ける。

 各地の避難先で募金活動をしている農学部の学生と連携し、5月には有志で任意団体「阿蘇復興への道」を立ち上げた。専門家から助言を受けて個々の活動ではなく、「金銭を集めている」という責任を明確にするため、組織化した。

 柴田さんは同じアパートで暮らし、同じサークルだった友人を亡くした。自身もアパートの下敷きになり、住む場所を失った。それでも悲しみをこらえながら、前に歩みたいと思う。

 「東海大学農学部の全学生にとって南阿蘇村は特別な場所。復興に向かってやれることをやっていく」

・村に恩返し 息の長い支援を

 各地で募金活動を展開する学生も同じ思いだ。

 宮城県多賀城市の実家に避難する農学部応用植物科学科3年生の関口ゆりえさん(22)は、東日本大震災の経験を踏まえ、息の長い支援が必要と強調する。「全国からの支援があるから、頑張ろうと思える。被災地をずっと応援していくことがいかに大切か、アピールしたい」。13日から仙台市の街頭に立つ。

 兵庫県内では学生約10人が神戸市と姫路市で募金活動を展開、15日にも計画する。同学部応用動物科学科4年生の圓藤沙和さん(21)は「農業を教わったり、農家でアルバイトしたり。私たちが学べていたのは村のおかげ。だから恩返ししたい」と懸命だ。

 高知市で募金活動をするのは、高知県四万十町出身の同学部応用植物科学科3年生の國廣智哉さん(20)。「早く村に戻りたいけれどアパートがなくなった。遠く離れた避難先から、村の復興のためにできることを続けたい」と思いを明かす。 (尾原浩子)

日本農業新聞

最終更新:5月12日(木)7時0分

日本農業新聞