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今押さえておきたい、3つの税制改正トレンド

マネーの達人 5月12日(木)4時56分配信

ここ数年の税制改正トレンドは?

消費税ばかり注目を集めた感のある今年の税制改正ですが、注意すべきは消費税だけではありません。

今回は、相続専門税理士の立場から、近年の税制改正のポイントを私なりにまとめてみたいと思います。

ここ数年の税制改正の傾向をズバリ表すと、「自宅介護の促進」、「遊休不動産の有効活用」、「世代間の財産移転の促進」です。

■1. 自宅介護の促進

平成25年に住宅ローン控除の改正が行われたとき、バリアフリー改修工事の税額控除についても期間が延長されました。

さらに今年の改正でも、三世代同居の住宅リフォームに関する税額控除規定が設けられようとしています(図表1)。

これらは何を意図しているのでしょうか?

お気付きの通り、「自宅介護の促進」以外の何ものでもありません。

もちろん国は介護施設等の整備も推進していますが、残念ながら、今の少子高齢化や女性の社会進出のスピードについてこれていません。

ところで、私は事あるごとに申し上げていますが、「介護は相続トラブルの引き金になりやすいので要注意!」です。

「自宅介護を念頭においた減税策ができたから」という節税一辺倒の理由で実行するのではなく、親も子も、まずは目前の介護と真剣に向き合ってから、その先の相続を考えてほしいと思います。

税金を法律の範囲内で節税するのはもちろん重要です。

しかし、税金だけがコストでしょうか?

お孫さんは、おじいちゃん・おばあちゃんの介護や相続を大人達がどのように進めたのか、完全には理解しないながらも見ています。

そしてその経験が、自分達の親の介護や相続のときに生かされるのです。

■2. 遊休不動産の有効活用

従来より国は、事業用や居住用の不動産の「買換えの特例」を設けています。

そして平成26年には空家対策法が成立し、今年は「相続した空家」の譲渡についても特例が設けられます(図表2)。

これらの施策には、使われていない土地の活用を促す意図があると考えられます。

空家であっても、空家対策法における「特定空家」に該当しなければ、固定資産税の減額は受けられます。

その限りでは空家もメリットがあるわけですが、収益を生んでいないため、支払う固定資産税は(低く抑えられているとはいえ)損失です。

そこで活用を、となるわけですが、建替え(自宅や賃貸)・売却など方法は様々で、どれを選択すべきか迷われることもあるでしょう。

土地活用について考えるとき、まず目印にしたいのは「地域に合った活用かどうか」です。

居住系のアパートやマンションだけに捉われず、予断を持たずに考えるべきです。

私は決して売却促進派ではありませんが、予断を持たないというのであれば、売却も一つの案ではあります。

■3. 世代間の財産移転の促進

贈与税の特例は近年様々なものが設けられています。

『結婚・子育て資金贈与』、『住宅取得等資金贈与』、『教育資金贈与』等、親から子、あるいは祖父母から孫への資産移転計画のラインが見えてくるようです。

これらの贈与特例に加え、昨年からは、親族間の一定の贈与の税率を一般の場合よりも低くするなどの優遇も開始されました。

相続対策と聞いて多くの人が一番最初に考える「生前贈与」。上手く使わない手はありません。

最後に

今回は触れませんでしたが、法人税は減税、消費税も軽減税率が導入されようとしています。

一方で社会保障費は増加するので、どこかで代替財源は考えなくてはなりません。すなわち、公的サービスの質を落とすか、さもなくば別の税目での増税です。

相続税に関しては、しばらく増税はないと思いますが、かねてよりグレーゾーンと呼ばれていた部分は、どんどん不可という方針が打ち出されていくのではないでしょうか。

以上、改正の趣旨を概観してきました。

つまるところ、「親子一緒に介護・相続対策を!」これが今年(今年だけとは限りませんが)のキーワードではないでしょうか。(執筆者:高原 誠)

最終更新:5月12日(木)4時56分

マネーの達人