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苦境の三菱自、手を差し伸べたのは被害者の日産 この買収は成功するのか

THE PAGE 5月13日(金)14時0分配信

 日産自動車が、燃費不正問題で経営危機となっている三菱自動車に巨額の出資を行うと発表しました。日産自動車は約2400億円を投じて、三菱自動車の第三者割当増資を引き受け、発行済株式数の34%を保有する筆頭株主となります。三菱自動車は、日産の傘下に入ることで再建をめざすことになりますが、果たしてうまくいくのでしょうか。

グループ会社も支援の余裕なく

 三菱自動車は今年4月、軽自動車に関する燃費データを改ざんしていた事実を明らかにしました。データが改ざんされていたのは、「eKワゴン」や、同社が受託生産を行い、日産が販売している「デイズ」など合計4車種です。すでに62万5000台が販売されており、同社は、顧客に対する補償費用として1000億円から2000億円が必要ともいわれています。

 また今回の発覚を受けて軽自動車の生産や販売を停止しており、4月の段階において国内販売台数は前年同月比で半減しています。5月以降はその影響が本格化してくることになるでしょう。三菱自動車の自己資本は約7000億円と薄く、3月31日時点では約4500億円しか現金がありません。補償費用が膨らみ、販売台数の落ち込みが続いた場合には、会社の存続が危ぶまれることになります。このため市場関係者の多くが、三菱グループ全体から支援を受ける、あるいはほかの資本傘下に入ることを予想していました。

 三菱グループは、中核企業である三菱重工が客船事業で特別損失を出したほか、三菱商事が赤字に転落するなど、三菱自動車を支援する余裕がありません。ここで手を上げたのが、軽自動車の分野で提携しており、今回の燃費改ざん事件の被害者でもある日産自動車でした。

両社のメリット・デメリット

 両社は軽自動車での提携に加え、電気自動車の分野でも共同開発を検討しています。また三菱は日産にとって手薄となっているアジア地域に強いという特徴がありますから、両社が一緒になるシナジーは大きいでしょう。

 日産は三菱の5倍の経営規模があり、約1兆円の現金を保有しています。しかし自動車業界の優等生であるトヨタと比較した場合、日産の財務体質はそれほど強固ではありません。三菱の経営再建に失敗すれば、日産は重い負担を抱えることになります。

買収がうまくいかなかった過去の例

 過去の例を見ても巨額の資金を投じた買収がうまくいかないケースが散見されます。かつてパナソニックは、約6600億円を投じて三洋電機を買収しましたが、ブランドの再構築がうまくいかず、結局、三洋電機は消滅してしまいました。

 また野村證券は2008年、経営破たんしたリーマン・ブラザーズの欧州・アジア部門を買収しましたが、目立った収益を上げることができず、大規模な人員削減に追い込まれています。今回の買収は日産にとっても大きな賭けといえるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5月13日(金)14時5分

THE PAGE