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熊本地震から1カ月。被災中に起業した女性に聞く熊本の今

ZUU online 5月13日(金)12時20分配信

震度7の揺れが2度起こるという、稀にみる大災害となった熊本地震から、あすで1カ月になります。49名もの命が失われました。今なお余震が続き、熊本の人たちは気の抜けない日々を送っています。

その最中に観光復興を掲げ、起業した女性がいます。東日本大震災後、放射能汚染を避けるため、東京から熊本に移住してきた荒木 真実子さん。女性ならではの目線で熊本について、今回の震災について、そして熊本のこれからについて話を伺いました。

■震災直後に起業
荒木さんの会社は地域ブランド化の推進や、写真撮影・映像制作、イベントプロデュースなどを行っています。この会社の登記はなんと本震から4日後の4月20日。もちろん以前から準備をしてはいたのですが、「まさに」というタイミングで熊本を応援する会社を阿蘇市に設立することになりました。

「移住先に熊本を選んだのは、食べ物が豊富なこと。生産者との距離も近く、ほどよく都会でほどよく田舎。水源も多く、豊かな暮らしができると思って」と荒木さん。

避難者支援団体の理事や農業生産法人を経て、熊本の人と出会い、阿蘇の雄大さに魅了されて、熊本・阿蘇の良さをもっと知ってもらいたいと起業の準備をしている中での地震でした。

■移住者から見た熊本地震
地震の多い関東から熊本へ来た荒木さんは、実は熊本地震もそれほど怖くはなかったと言います。もともとの熊本の人と違い、地震対策は万全でした。

「揺れ自体は東日本大震災より、今回の熊本地震のほうが大きく感じました。ビックリしたのは4月14日の前震の時。私、温泉に入ってたんですが、慌てて服を着て出たのと同じタイミングで温泉に入ろうとする人が来たことかな(笑)」(荒木さん)

熊本の人は大きな地震のあとに、ある度大きい余震が来ることを知らない人が多く、それゆえの笑い話かもしれません。

■東日本大震災では見られなかった光景
しかし、16日本震で状況は一変。

熊本市内だけで10万人を超える避難者が街に溢れました。電気、ガス、水道のライフラインが止まり、食料備蓄を持っていない人も多く、あちこちから食料を始めとする支援物資の要望が上がりました。

「東日本の人に比べて災害に対する準備が出来ていない印象を受けました。日本はどこでも揺れる国、準備は必要です」(荒木さん)

そして東日本大震災では見られなかった光景もありました。

「地震直後でも熊本市の隣の市などではライフラインも生きていて、買い物も食事も出来る店があり、同じ熊本市内でも北部では温泉も営業していました。また、熊本は湧水が豊富、熊本市内及び近郊では水を汲める場所がたくさんあるんです。それでも、炊き出しや給水の列に並ぶ人たちが多いんです。なぜ? 私は自分で動ける人は自分で動いて欲しいとSNSでも発信しました」(荒木さん)

一方で、家の下敷きになった人を余震の最中に近所の人が救助をしたり、大学生が自ら被災していたにもかかわらずボランティアをしたり。そのギャップに驚いたと言います。

「このギャップも九州の人らしいラテン気質なのかもしれませんね。近所の公園などに避難しながらバーベキューを楽しんでいる人もいて逞しいな、と感心しました」(荒木さん)

■阿蘇の現状、どうなっているの?
TVでは阿蘇大橋が落ちたり、学生アパートが崩落したりと、衝撃的な映像が流されつづけた阿蘇。今、阿蘇はどうなっているのでしょうか。

「まず一口に阿蘇といってもとても広くて、7つの市町村があることを知ってください。熊本地震で特に大きな被害を受けたのは阿蘇の入口に位置する、西原村、南阿蘇村と阿蘇市の一部でした」(荒木さん)

大きな被害のない地域は、今までどおりの生活をしている人が大勢います。阿蘇すべてが壊滅的な被害を受けたような報道が多く、訪れる観光客は激減しました。外部から見れば阿蘇は一つ。観光がメインの阿蘇では、無事な地域が被害の大きい地域を支えなければいけないと荒木さんは思っています。

■「阿蘇の息吹を感じに来て」
今回の地震で熊本は、熊本城という大きな観光名所も失いました。その再建に掛かる年月は20年とも30年とも言われています。熊本の産業は観光が大きな割合を占めており、経済的にも大きなダメージを受けることは間違いないでしょう。

それでも、本当の復興は熊本の人が行政を頼らず、自分たちでどうにかしようと立ち上がった先にあるもの。2012年の九州北部豪雨でも、熊本・阿蘇地域は「がまだすばい!」(熊本弁でがんばろうの意味)を合言葉にみんなで立ち上がった、と荒木さんは言います。

最後に県外の人にメッセージを、というと「熊本・阿蘇に遊びに来て下さい」と一言。

「阿蘇は、世界農業遺産やジオパークにも認定された雄大な自然があります。今回の地震だって地球の営みのひとつ。地球が生きていることを直接感じられる場所です。今じゃなくていい、余震が収まってからでもいい。阿蘇の姿を見ると、自分が小さな存在だと実感できる素敵な場所です。私たちも発信していきます。長い目で応援してください」(荒木さん)

【取材に協力してくれた方】
荒木 真美子さん
株式会社AQRIO(アクリオ)代表取締役。千葉県出身、熊本市在住。3.11の東日本大震災後、放射能被害を避けるために熊本へ母子避難。離婚を乗り越え、避難者支援団体理事や農業生産法人で熊本について学び、阿蘇に会社を設立。

【筆者】
井手 あやこ
福岡出身、熊本在住のフリーライター。地元雑誌の編集のほか、webのコンテンツの作成も行っている。野菜ソムリエの資格を持ち、美味しい食べ物に目がない。趣味は食べ歩き。グルメのほか金融・医療・観光などの記事が得意。

(提供:DAILY ANDS)

最終更新:5月13日(金)12時20分

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