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英国でマニュアル車の人気が衰えない理由

ZUU online 5月13日(金)21時1分配信

ドイツの統計調査企業、Statistaの調査によると、英国で実際に道路を走行している車両数は年々増加傾向にあり、昨年は過去最高の3170万台(うち新車は260万台)に達した。10年前と比較すると180万台増えている。

数字だけを見ても、10年前、20年前から極端に交通量が増えたという実感はわかないのだが、車の趣向や免許取得システムは時代とともに確実に変化している。

■ハイブリッドやガソリン車がディーゼルを追い上げ

昨年に引き続き、今年2月は「自動車の当たり月」。2003年以来、最高の売上げといわれている。新車の販売台数は1カ月で8万3395台を記録した。

昨年のVWのスキャンダルまでは欧米で絶大な人気を誇っていたディーゼル車を、ガソリン車やハイブリッド車が追い上げている。

今年に入ってハイブリッド車が全体の販売台数を占める割合は、3.3%(前年比0.5ポイント増)に上昇。昨年の2月と比べてすると20ポイントも伸びている。またハイブリット車とガソリン車の差もわずか248台に縮まっている。

■1番人気はフォード ・フィエスタ ハッチバックとコンパクトが必須

かつては普通自動車がもっとも一般的だったが、近年英国で見かける車はコンパクトなボディーに5ドアのものが断然多い。英国の都会の道路幅は大通でも比較的狭い。

そこにズラリと駐車中の車が並んでいたりすると、普通サイズの車でも立ち往生してしまう場合がある。またそうしたせせこましい道路を自宅前の駐車スペースとして利用する人も多いので、何かにつけてコンパクトなほうが便利というわけだ。

ハッチバックも利便性という点で大人気。スーパーの買い物は勿論、傘、ゴルフバッグ、ペンキ、毛布まで「コレでもか」というぐらいに様々なモノを放り込み、屋根やバックドアに自転車をくくり付けて走っている車もごく日常的に見かける。日本ではスポーツカーでしか見かけないような3ドア使用のコンパクトカーも健在だ。

英国人の趣向を具体的に伝えるために、昨年最も人気だった車種を10位まで挙げてみよう。すべの車種に共通している点は、「コンパクト」「5ドアのハッチバッグ」「庶民も頑張れば手が出しやすい価格帯」だ。

10位 ボクスホール・モッカ(登録件数4万5399台)
9位 MINI(4万7076台)
8位 アウディA3 (4万7653台)
7位 ボクスホール・アストラ(5万2703台)
6位 フォルクスワーゲン・ポロ(5万4900台)
5位 日産キャシュカイ(6万814台)
4位 フォルクスワーゲン・ゴルフ(7万3409台)
3位 フォード・フォーカス(8万3816 台)
2位 ボクスホール・コルサ(9万2077台)
1位 フォード・フィエスタ(13万3434台)

■「オートマ命」の英国男性

変わらないのは男性ドライバーのマニュアル趣向だろうか。マニュアルを愛用している女性ドライバーも珍しくはないが、男性ドライバーの間では「オートマで走っている男は男じゃない」「オートマは女性のためのもの」といった定説が暗に根付いているようだ。

筆者は何度か「それは女性ドライバーへの軽視が根底にあるのではないか」という議論を、マニュアル崇拝者たちに持ちかけたことがある。

全員即座に否定したが、説明を求めると歯切れが悪くなる。「マニュアルは自分でコントロールできる。車にコントロールされるオートマは不安」という説明が最もそれらしく聞こえたが、やはりそこには「男たるもの車ごときに振り回されてなるものか」という英国流男気が見え隠れする。

また「オートマ=運転初心者」という図式ができ上がっているのも、要因になっているようだ。つまりマニュアルを愛用することで、運転にこなれた上級者の雰囲気を醸し出す一種のプライドがあるのだろう。英国の路上で突然エンストを起こす車が多いのは、そのあたりが原因なのではないかと筆者は常々疑っている。

■年々ハードルの高くなる免許取得試験

運転免許取得のプロセス自体は概ね日本と同じ。仮免許証取得後、本試験を受ける。

異なるのは仮免許の申請が15歳9カ月からという点だ。実際の運転はバイクは16歳、車は17歳まで待たなくてはならないが、生まれ月によっては中学3年生で仮免許を取得できることになる。仮免許の有効期間は10年間と非常に長い。

20年前までは技能試験(practical test)のみで採点基準も比較的甘めだったため、英国での免許取得は簡単といわれていた。しかし1996年に筆記試験(theory test)が英国にも導入されたことによって第1のハードルがあがる。その後のEU加盟でますますハードルが高くなっているようだ。

■免許取得の総費用は最低20万円

本試験までのレッスン法も日本とは大きく異なる。口コミや広告から個人や教習所(Driving School)の指導員と直接交渉を行う。交渉がまとまれば指導員が自宅まで来てくれ、指導員の車あるいは自分が用意した車で路上練習に出かける。

一般的に教習料はレッスン単位で加算される。指導員の評判などによっても開きがあるが、22ポンドから26ポンド(約3515円から4154円)あたりが相場のようだ。

「1人あたりが支払うレッスン料の合計は平均1000ポンド(約15万978円)前後」というグローバル市場調査会社イプソスのデータに基づいて計算すると、本免許取得までに38回から45回のレッスンを受けることになる(英政府の推奨レッスン回数は45回)。

仮免許、本試験などの費用を合わせると、免許取得の総費用は最低でも1300ポンド(約20万7716円)といったところだろうか。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター)

最終更新:5月13日(金)21時1分

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