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江戸時代のマネー・ウォーズ『殿、利息でござる!』! 1000両集めて貧乏脱出作戦

dmenu映画 5月13日(金)15時0分配信

問題勃発:町人に課された重税

刀を抜かない時代劇です。ちょんまげ姿の経済ドラマと言い換えてもいいかもしれません。この『殿、利息でござる!』の原作は『武士の家計簿』の磯田道史の中編集「無私の日本人」に収録されている「穀田屋十三郎」。原作に惚れ込んだ中村義洋監督が自ら磯田氏を口説き落として映画化にこぎつけた作品。感動の実話です。

江戸時代後期の明和3(1766)年、仙台藩伊達家、吉岡宿の人々は重税に苦しみ、破産や逃亡が相次いでいました。迫り来る存亡の危機。町の将来を憂う造り酒屋・穀田屋の十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の茶師・菅原屋篤平治(瑛太)のひらめきから、ある秘策を実行に移します。それは藩に大金を貸付け、その利息で町を救うという前代未聞の内容でした。思い込んだら命懸けの十三郎は、同志を集め、私財をなげうって町のために奔走するのですが……。

窮乏の理由:名門藩主の見栄

そもそも、なぜ伊達家や吉岡宿はこんなに窮乏していたのでしょうか。原因のひとつは伊達家七代目当主・伊達重村の猟官運動にありました。格式を重んじる重村は薩摩藩・島津家への対抗意識が強く、自分より若い島津重豪と対等な「従四位上・左近衛権中将」の位を得るため、江戸の老中らに多額の金品を送っていたのです。そのため幕府の御手伝普請(大規模土木工事)も買って出ており、その出費も大きな負担でした。

しかも名門の伊達家は他藩とは違う体制を持っており、家臣を城下に集めるのではなく、各地の領地に城館を建てて住まわせ、藩の中で参勤交代のようなことを行なわせていたのです。宿場には“伝馬役”という任務があり、通常の農民のような年貢とは別に、公用で役人が街道を往来する場合は人馬を強制的に徴用していきます。その馬や人足の経費はすべて町人の負担でした。これが藩の直轄地であれば“伝馬御合力”という助成金が出るのですが、吉岡宿は伊達家の家臣・但木氏の領地(しかもわずか1500石の小身)だったため、その恩恵に預かることもできませんでした。

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最終更新:5月13日(金)15時0分

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