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東出昌大「愛すべき馬鹿の映画です」

Lmaga.jp 5月13日(金)15時0分配信

「ほんとにちっちゃな結末なんですけど・・・」(東出昌大)

福満しげゆき原作のコミック『生活【完全版】』を、東出昌大主演で実写映画化した『ヒーローマニア -生活-』(5月7日公開)。これまで、好青年役が多かった東出だが、今回は自身初のヘタレ役に挑戦。俳優デビュー作『桐島、部活やめるってよ』からわずか4年。連続テレビ小説『ごちそうさん』、映画『アオハライド』など、今や誰もが知る俳優のひとりとなった東出昌大を直撃した。

木村文乃と舞台挨拶に登場した東出昌大

──今回の映画『ヒーローマニア -生活-』は、これまで観たことのない表情といいますか。好青年なイメージが強かった東出さんですが、俳優デビューから4年。芝居への考え方など変わりましたか?

これまで、お芝居に対して、自分自身であれこれ考えすぎて、がんじがらめにしていた部分があったんです。でも、今年の目標として、考えないでおこうと。楽をするってことじゃないけど、いい意味でやっと余裕が生まれたというか。お芝居って、演じることが大好きで、その延長で楽しんでなさっている方も多いし、そこにお芝居の本質もあるんだろうなって思ってたんです。これまでお芝居をストイックに捉えすぎていたので、そういう意味で、楽しみながら仕事をやることも必要だなと考えるようになりましたね。

──いい意味で、力を抜いていくという。

そうですね。今年の目標といいながら、つい先日固まったぐらいですけど(笑)。今回の『ヒーローマニア -生活-』との出合いも大きいんですが、その前に舞台『夜想曲集』をやらせてもらったんですね。それまで、役を信じるというか、その人物になることが第一の正解だと思ってたんです。すごい高度なことだけど、そこを求めていかなきゃダメだと思い込んでたんです。今でも信念としては変わらないんですけど、その舞台の演出家さんが「ここはベネチア、という設定の舞台の上だと思って芝居して」って、役者さんに言ってて。表現をする上で、お芝居だと思ってお芝居をする。あぁ、それはそうだなと。これはお芝居だ、ハッタリの世界だと思ってやれば、もっと楽しんで、もっと自由にできるんじゃないかと。

──今作は、東出さんはじめ、キャストのみなさんの吹っ切れた演技が印象的でしたが、それが生かされている部分ってありますか?

今回、撮影に入ったとき、「舞台をやってたからお芝居が大きくなってるかも知れない、気づいたら言ってください」って、豊島監督に言ったです。そしたら、「でっくん、芝居が大きい」って、初めて現場で言われて。完成版を観て、デカイ部分もあるなと思うんですけど、そうじゃなきゃ、この吹っ切れた役はできなかっただろうし。その前の舞台があったから、初めてデカイ自分を出せたのかなって思いますね。

──豊島監督とは、WOWOWドラマ『ホリック~xxxHOLiC~』(2013年)以来、2回目ということもあって、やりやすさとかありましたか?

以前、もっともっと、こうすれば良かった、ああすれば良かったというのがあって。そう僕が悩んでたのを豊島監督は見ているので、まず一緒に戦ってくれようとする、良き理解者だったので、そこは大きかったですね。いい兄貴分というか、僕のパーソナルな部分を最初から知ってくれているという意味では、僕のクセも見抜いていると思いますし。僕も監督は、人が悪いなと思いますし(笑)。

──人が悪い(笑)?

豊島監督はいつも明るいんですけど、ものすごく冷静で冷酷なところもあるというか。基本的に人は悪いですよね(笑)。それが好きなところなんですけどね。頭のいい方ですし、いろんなものをいろんな視点から見られてるので、「ハハハ」って笑っているけど、きっと腹黒いこと考えてるんだろうなと思って話してます(笑)。

──笑顔でハードルを高くしていくタイプなんですね(笑)。今回演じた主人公・中津は、これまでの出演作から相当イメージとかけ離れたヘタレ役ですが、すんなり入っていけましたか?

顔合わせのときに、ト書きに「走る」というのが多くて、監督から「走り方を研究しておいて」って言われたんです。「情けなく走って欲しい」と。ほかにもヘタレなアクションはあるんですけど、アクションの最初の視点はそこでしたね。あと、監督が中津のことを、「30歳、フリーター。前職はあったけど、今はコンビニ店員で。再就職したいと思って、履歴書を書いているけど、賞罰欄を1回書いて、修正テープで消して。消したい過去がある」って。過去があるのはいいけど、それを賞罰欄に書いちゃって、でも、ずぼらにも修正テープで消そうとする至らなさというのが(笑)、なるほどなって。

──新しい履歴書に書き直すんじゃなくて。

修正テープで消して、それで諦めるという。中津って、自信のなさと心の折れ方、現実逃避の塊みたいな人物なので(笑)。そこは共感とかじゃなくて、いるよな、そうだよなって。挫ける気持ちとかはちょっと分かるので。

──そこで見えてくる人物像が、演じる上で大きなヒントになるわけですね。

大きかったです。(若者殴り魔の日下演じる)片岡鶴太郎さんに、「(窪田正孝演じる)土志田と仲直りしろ」と言われるシーンがあるんですが、泣く場面じゃないんですけど、片岡さんの言葉を真に受けてたら涙が出てきて。そしたら監督が来て、「(泣きの芝居は)間違いじゃないけど、ここで中津は泣かない方がいい」って。ここで泣くというのは、出来た人間だ。そうじゃなくて、まだ俺は間違ってないって意固地な方が中津っぽいって。普通なら、泣きの芝居になって、そこから(展開が)切り替わっていくはずなんですけど、そうじゃなくて、監督はそこでも人のせいにし続けろって(笑)。いいなぁと思って(笑)。

──それ、おもしろいですね(笑)。ただ中津はどうにもダメ人間なんですけど、愛すべきヘタレでしたね。

うん。いろんなことから逃げてる様とか、イライラさせる部分もあると思うんですけど、結局のところ、この映画を見終わったあとに、イヤな気がしないのって、みんなの活躍もあるけど、中津自身が一生懸命だったからだと思うんです、ずっと。無様な奴でも一生懸命な姿を見ると、そんなに嫌な気がしないというか。映画の成果としては、社会問題を大々的に訴えているわけでもないですし、最終的にはただコンビニで注意できるようになっただけなんですけどね(笑)。ほんとにちっちゃな結末なんですけど、愛すべき馬鹿な連中が、愛すべき馬鹿を撮った映画だと思ってます(笑)。

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最終更新:5月13日(金)15時4分

Lmaga.jp

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。