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不自由な体だからこそ伝えられることがある 国会に出席拒否されたALS患者・岡部さん

BuzzFeed Japan 5月14日(土)18時18分配信

「日本の福祉は、制度としても文化としても、世界に誇れると思っていました。今回のことは本当に驚きました」。全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)。その患者で、日本ALS協会の副会長でもある岡部宏生さんは、BuzzFeed Newsにそう語る。【BuzzFeed / 井指啓吾】

岡部さんは、衆院厚生労働委員会で5月10日に開かれた障害者総合支援法改正案を巡る参考人質疑で、当事者として意見を述べる予定だった。しかし、与野党の政治的な駆け引きに巻き込まれ、「コミュニケーションに時間を要する」との理由で、出席が取り消された。

岡部さんは国会で、何をどのように伝えたかったのか。

5月13日夕方、都内の自宅に伺うと、岡部さんは居間に置かれたベッドで横になっていた。電動式で上体を起こすことができる、病院などにあるものと同じタイプだ。ベッドの脇には呼吸器などの医療機器が置かれている。岡部さんの喉に向かって、長く太いパイプが伸びている。

ベッドの周りにはヘルパーさんが5人もいた。まばたきとわずかな口の動き以外、全く体を動かせない岡部さんには、さまざまな「ヘルプ(補助)」が必要だからだ。1週間に8人が交代しながら岡部さんに付きそう。毎日24時間、少なくとも1人は岡部さんと一緒にいるという。

「こんにちは」と声をかけた。岡部さんは記者の方ではなく、女性のヘルパーさんの1人に目線を動かし、顔を見ながら口を動かした。

すると、その女性は、テレビ台に置いてあった名刺ケースから1枚を取り出し、もう一度岡部さんを見つめた。目線と唇の動きから、岡部さんが何を言いたいのかを読み取り、記者に名刺を手渡しながら、こう言った。

「初めまして、岡部です」

これが、岡部さんのコミュニケーションだ。事前に資料を読み込み、こういうやりとりになることは予想していた。実際に目の前で見ると、この状況で生きる困難さと、それでもそれを身を持って伝えようとする岡部さんの強さを、同時に感じる。

岡部さんとヘルパーさんは、次のようにコミュニケーションをしている。

まず、岡部さんが母音(あいうえお)を、わずかに動く口で伝える。「あ」であれば、ヘルパーさんが、あ行を横に読み上げる(あかさたなはまやらわ)。岡部さんは、伝えたい音を聞いたタイミングでまばたきをする。濁点を付ける場合は2回、半濁点(゜)は3回まばたきをする。ヘルパーさんに正しく伝わらなかった場合には、黒目を左に寄せて合図をする。

「はい」「どうぞ」といった短い言葉であれば2、3秒で返せるが、当然ながら、長い言葉で回答しようと思えば、その分時間はかかる。記者が取材した際には、1人が岡部さんの伝えたい音を読み取り、もう1人がその音を文章として記録していた。文章が出来上がると、それを読み上げてくれる。

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最終更新:5月14日(土)18時18分

BuzzFeed Japan