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世界のヘッジファンドランキングTOP10 2016年はレイ・ダリオも苦戦

ZUU online 5月15日(日)8時10分配信

2016年の金融市場は中国発の世界株下落と原油価格の急落から大きく荒れる展開で始まった。世界の金融市場を席巻しているヘッジファンドは、運用不振から巨額の解約が相次いだ。その解約ラッシュが世界の金融市場をさらに混乱させたとも言えるだろう。謎の多いヘッジファンドは、どれくらいの資金を、どのように運用し、どれくらいの報酬をもらっているのだろう。

■ヘッジファンドの苦戦 解約額は2016年第1四半期で150億ドル

2016年1-3月の世界のヘッジファンドの解約はリーマンショック以来の高水準に達した。ヘッジ・ファンド・リサーチ(HFR)社によると解約額は150億ドル(約1.6兆円)となり、運用総資産額は2.90兆ドルから2.86兆ドル(約310兆円)に減った。解約額は、リーマンショック時2009年の4-6月期の430億ドル以来の規模となっている。

解約の中心となった戦略は、グローバル・マクロが73億ドル、イベント・ドリブンが83億ドル。世界中の国や地域の経済トレンドや政治的イベント、企業イベントを重視し、為替、債券、株、商品など機動的にグローバルな投資を行う運用手法が中心だった。

減ったと言っても世界のヘッジファンドの運用資産総額は約310兆円に達している。ヘッジファンドは運用資産にレバレッジをかけていることも多いため実際の金融市場でのプレゼンスはその何倍にも達する。世界一の投資家と言われ日本の公的資金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資産が140兆円であることを考えれば、ヘッジファンドのインパクトの大きさが想像できるだろう。

■著名ファンドマネージャーの苦戦 レイ・ダリオ、ジョン・ポールソン…

HFR社のヘッジファンド・インデックスによると、ヘッジファンドの今年1-2月のパフォーマンスは2.6%の下落となり、2015年の1.1%のマイナスからさらに続落していた。リーマンショック時や2015年下期のFRBの利上げ懸念のように、市場にテイルリスクが発生するときにヘッジファンドのロスが大きくなる傾向があることから解約ラッシュが起きた模様だ。

特に運用総資産の大きいグローバル・マクロ戦略のファンドが苦戦した。著名ファンドマネージャーのファンドも軒並み1-3月は大幅な損失を計上している。

それぞれ、世界一のグローバル・マクロのファンドであるレイ・ダリオのブリッジウォーターは▲7%、リーマンショック時にサブプライム危機で巨額の富を築いたジョン・ポールソンのイベント・ドリブン戦略のポールソン・アンド・カンパニーは▲15%、チェース・コールマンが運用するグローバル・マクロのタイガー・マネジメントは▲22%、タイガー出身のアンドレアス・ハルボアセンのバイキングは▲9%、バリュー投資のビル・アックマンのパーシング・スクエアは▲26%となっている。

■世界のヘッジファンド「資産運用額ランキング」TOP10(2015年版)

ヘッジファンドの運用資産はどれくらいなのだろう。ヘッジファンドは私募であるため正式な統計はない。そのため、会社の開示や、米国で登録しているファンドが四半期毎に義務づけられている「13Fファイリング」などをベースに、調査会社によってそれぞれのランキングが作られている。

英調査会社プレキンが集計した2015年上位10社は以下の通り。著名ファンドマネージャーのレイ・ダリオ率いるブリッジウォーターが世界一で約18兆円の資産を運用している。ダリオの旗艦ファンドはグローバル・マクロ戦略が2本だ。2位のAQRキャピタル・マネジメントは、クオンツ系のモメンタム系のファンドが旗艦ファンドだ。3位のマンはCTAで有名なファンド。為替、債券、株式市場だけでなく商品市場でも大きなプレーヤーだ。

ヘッジファンドには株式ロング・ショートのようにエクイティ戦略のものも多いのだが、200億ドル以上の規模になると、エクイティでは運用が難しくなるためグローバル・マクロ戦略か複数戦略を組み込んだマルチ・ストラテジー戦略が多くなる。

それでは、以下でランキングを紹介しよう。

(順位/運用会社/運用総資産/所在地/主力戦略)

1 ブリッジウォーター・アソシエイツ/1695億ドル/米国/グローバル・マクロ
2 AQRキャピタル・マネジメント/649億ドル/米国/グローバル・マクロ
3 マン・インベストメンツ/500億ドル/英国/CTA
4 オクジフ・キャピタル/472億ドル/米国/マルチ・ストラテジー
5 スタンダード・ライフ・インベストメンツ/353億ドル/英国/マルチ・ストラテジー
6 ブラックロック・オルタナティブ・インベスターズ/318億ドル/米国/マルチ・ストラテジー
7 ウィントン・キャピタル・マネージメント/311億ドル/英国/CTA
8 バイキング・グローバル・インベスターズ/303億ドル/米国/グローバル・マクロ
9 ミレニアム・マネージメント/292億ドル/米国/マルチ・ストラテジー
10 ローン・パイン・キャピタル/290億ドル/米国/株式ロング・ショート

通常のヘッジファンドの運用フィーは2%と言われている。公募の投信などと比べるととても高い。しかも、成功報酬としてターゲットを上回れば20%のインセンティブを払うような契約になっているものが多い。したがって、運用成績がいいうちは問題ないのだが、運用成績が落ちてくるとコスト高なため、機関投資家などは解約せざるを得なくなるのが実情だ。巨額の資金を運用し、巨額の報酬を得ているように見える運用業界だが競争が激しく消えていくファンドやファンドマネージャーも多いのだ。

■トップファンドマネージャーの報酬は17億ドル

2015年にもっとも稼いだファンドマネージャーは17億ドルだった。

「Institutional Investor`s Alphamagazine」が5月10日に発表した2015年のヘッジファンドの報酬ランキングでは、シタデルの創業者であるケネス・グリフィンとルネサンス・テクノロジーズ創業者のジェームズ・シモンズが17億ドルでトップを分けた。日本円にして約1870億円と驚くべき報酬額だ。

これだけの報酬を年間で稼げるのがヘッジファンドだ。3位のブリッジウォーターのダリオとアパルーサ・マネジメントのデビッド・テッパーが14億ドルと続く。テッパーはポールソンとともにリーマンショックで稼いで有名になったトレーダーだ。

上位陣はほとんど常連達で締められているものの、ランキングトップ8人のうち6人がクオンツ系のコンピュータ運用のファンドマネージャーだ。クオンツ系ファンドマネージャーが報酬を増やす傾向が加速しておきており、ランキングの上位25人でみても半数以上がコンピュータを使ったシステムトレードの運用者で占められている。

たとえば2015年の7位にツー・シグマ・インベストメンツのジョン・オーバーデックとデビッド・シーゲルの共同創業者が二人揃って初めてランクインした。二人はもともと有名ヘッジファンドのDEショーから独立した。コンピュータによるCTA戦略をとるファンドの運用者だ。

こうしてみると、クオンツトレードに精通し、一度ヘッジファンドで経験と実績を積む事が、大きな報酬を稼ぐファンドマネージャーやトレーダーになる第一歩だろう。日本人がいつかこのリストに入る事が楽しみだ。

平田和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとしての市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:5月15日(日)8時10分

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