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トヨタ、2016年3月決算で最高益3年連続も年明け以降の「円高には勝てない」のか?

エコノミックニュース 5月15日(日)20時47分配信

 トヨタ自動車は5月11日午後に開催した決算説明記者会見で、2016年3月期決算で営業利益が2兆8539億円(前年比103.8%)、純利益が2兆3126億円(同106.4%)で、ともに過去最高を3年連続で更新したと発表した。昨年末までの円安やコスト削減で利益を伸ばした。売上高は28兆4031億円(同104.3%)だった。

 世界販売台数は1009万台。3年連続で1000万台超え。世界のメーカー別販売台数でトップとなった。傘下の愛知製鋼で今年1月に起きた爆発事故の影響で約9万台の生産遅延が起きたが、その損失は600億円と影響は限定的だった。

 一方、2017年3月期の利益は“大幅に落ち込む”との見通しを発表した。本業の儲けを示す営業利益は前年比59.6%となる1兆7000億円とする。減益は5年ぶりで、数年来の円安効果で回復拡大基調にあったトヨタの好業績は、曲がり角を迎えるという。

 見通しによると、最終的な儲けを示す純利益は同64.9%の1兆5000億円、売上高は同93.3%の26兆5000億円と予想。為替レートは年明け以降、円高が進んでいるのを受け、前年より15円・円高の1ドル=105円との想定で試算したという。為替変動の影響で利益が9350億円減となる見通しだ。

 トヨタの豊田章男社長の「これまで3年連続の増益は“追い風参考記録”だ。今年に入ってからの円高による下げ圧力で“潮目が変わった”。今期は“私たちの意志が試される1年”になる」という言葉が象徴的だった。

 つまり、トヨタが得意とする「カイゼン」や、部品の値下げ要請を含めた「原価改善の努力」をもってしても、為替変動の影響の前には“焼け石に水”だというわけだ。トヨタを頂点とする日本の自動車産業が、技術力や商品力の高さで国際競争力を持っているのは間違いない。が、為替が円高に振れると、途端に業績が著しく悪化することも、今回の決算発表が示したといえる。日本経済が自律的な回復をしているのではなく、輸出時の帳簿上の計算で大きく膨らんでいただけのことである。金融政策一辺倒のアベノミクスの限界も浮き彫りになってきたといえる。

 豊田社長の挨拶のなかで、彼が語った“私たちの意志”についての具体的な内容を紹介しよう。それは、「“もっといいクルマづくり”を着実に進められる会社になること」であり、「未来への挑戦として、既存の自動車事業はもちろん、自動車事業の枠に収まらない領域にも、しっかり“種をまいていく”こと」とし、そして「リーマンショックのような事態が 起こった時でも揺らぐことなく推進できる“強靭な財務基盤”を構築すること」だとしている。

 「持続的成長に向けて、“これまでのセオリーは、これからのセオリーにはならない”。 道なき道を切りひらくという“意志”を持ち、 クルマづくり、ヒトづくり、 未来への挑戦を続けていく」としたのは、豊田社長の結びの弁だ。(編集担当:吉田恒)

Economic News

最終更新:5月15日(日)20時47分

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