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放火から約1年、新幹線の安全は 進む対策、難しい現実

乗りものニュース 5月15日(日)10時46分配信

新幹線車内で焼身自殺を図り、2人が死亡

 JR東海が2016年5月10日(火)、東海道新幹線の静岡~掛川間で避難誘導訓練を行いました。営業列車の運行終了後に行われたこの訓練、そのシナリオは次のようなものです。

【写真で見る新幹線避難誘導訓練】

「静岡~掛川間を走行中の下り『のぞみ号』車内、4号車デッキで原因不明の火災が発生し、乗客が非常ブザーを押す。それを確認した運転士はマニュアルブレーキで列車を停止させるが、その際、運転士がデッキに設置されている防犯カメラの映像を通して火災であることを確認したため、トンネルや橋を避けて停止させた」

「そして車掌が、新幹線に搭載されている防煙マスク、防火手袋を使って初期消火を試みるが困難であったため、はしごを使って乗客を車外へ誘導。バスで最寄り駅へ送る」

 昨年2015年6月30日、東京発新大阪行きの東海道新幹線「のぞみ225号」車内で発生した放火事件を受けて作られたシナリオです。

 車内に火を放って焼身自殺を図った男と、巻き添えになった女性ひとりが亡くなり、鉄道会社、そして社会に大きな衝撃を与えたこの事件から、もう少々で1年。この1年で対策はどこまで進み、「鉄道の安全」はいま、どうなったのでしょうか。

 ちなみに、訓練で「トンネルや橋を避けて停止させた」のは、火災時にトンネル内で停車すると煙が車内に充満し危険なことと、避難のしやすさを考慮したためです。

機械、システム、装備、そしてルールにも手が加えられた1年

 火災事件を受けて、乗務員が煙に巻かれ避難誘導などができなくなることを防ぐため、防煙マスクと耐火手袋、携帯用担架の搭載が、東海道・山陽新幹線で行われるようになりました。

 また客室内への防犯カメラ設置、常時録画を行う動きが新幹線で拡大。2016年2月23日にJR東海が全新幹線で初めて、客室内を常時録画する車両の運行を東海道・山陽新幹線で開始しました。その後、東北・北海道・北陸・秋田新幹線でも、客室内の常時録画が始まっています。

 非常時を想定したシステムの改良も進行中。東海道・山陽新幹線では非常ブザーが押された場合、連動して運転台へ防犯カメラの映像が表示されるよう、改修が行われています。従来も運転台で映像の確認は可能だったものの、情報管理などの観点から手順が必要でした。それを連動表示に改良することで、JR東海によると「より的確で速やかな対応が可能になる」といいます。

 車内へ持ち込める手回り品のルールも2016年4月28日以降、変更されました。それまでガソリンと灯油、軽油は、容器を含む重量が3キログラム以内であれば車内へ持ち込めましたが、現在、そうした可燃性液体は量にかかわらず持ち込み禁止です。

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最終更新:6月30日(木)12時24分

乗りものニュース