ここから本文です

INORAN 全国ツアーのファイナル公演の模様を詳細レポート/ライブレポート・セトリ

エキサイトミュージック 5月16日(月)7時15分配信

 
■INORAN/【INORAN TOUR 2016 -BEAUTIFUL NOW again 2016】ライブレポート
2016.04.24(SUN)at 恵比寿LIQUID ROOM
(※画像10点)

【この記事の関連画像をもっと見る】

「まだまだ旅を続けなきゃいけない」――ツアーファイナルで誓った未来

10thオリジナル・アルバム『BEAUTIFUL NOW』を携えた全国ツアー【INORAN TOUR 2015-BEAUTIFUL NOW-】がスタートしたのは、2015年9月。東京キネマ倶楽部での初日公演(ファンクラブ限定)からして既に、このアルバムが持つ“場を一つにする力”はひしひしと感じ取ることができた。ステージに立つ側が力のこもった歌、演奏を届けるのはもちろんのこと、観客も受け身ではなく、例えば共に歌ったりリアクションをしたり、といった全身全霊での真剣な“参加”を求められていた。常に「もっともっと!」と渇望するINORANの姿が目に焼き付いて離れなかったのだが、今年4月に開催されたこの【INORAN TOUR 2016-BEAUTIFUL NOW again】は、その「もっともっと!」が募った果てに開催された、と言えるだろう。全国を巡り、4月24日(日)、遂にこのファイナルの地、恵比寿LIQUIDROOMにINORANは辿り着いていた。


いくつものキャンドルが灯された仄暗いステージを前に、開演を待ちかねたファンの熱のこもった手拍子が自然発生し、徐々に小刻みにテンポアップ。18:15、いよいよメンバーが姿を現し、最後にINORANが天を指さしながら登場。ギターの弦に鋭いアタックを加え、コードを爪弾き始めた1曲目は、なんと、初披露のインスト新曲。攻めの姿勢しか感じない、痛快な幕開けだ。次第にメンバー全員の音が重なっていき、重厚なバンド・アンサンブルが練り上げられていく。途中、INORANが体の動きを急変させると、ギターのYukio Murataが幻惑的に歪んだソロ・プレイを披露、加速度的にスリルが増していく。眩しいライトに逆光で射られながら、サウンドは、アルバムの表題曲「Beautiful Now」へとなだらかに繋がっていった。INORANの声は低くしっとりと湿った落ち着いたトーンで、演奏時の姿勢も重心が低く、ゆったりと体を揺らしながら、抑制の効いたグルーブを紡いでいく。時折、手を掲げてファンの歌声に耳を傾けるジェスチャーを見せながら、観客の放つ熱をしっかりと受け止める。まだ音の鳴りやまない後奏の最中に起きた大きな拍手は、会場にひしめくファンの熱気を証明していた。間髪入れず始まったのは、同じく最新アルバムから、アッパーな「might never see, might never reach」。拳を突き上げる観客の呼吸は序盤からピッタリと合っていたし、熱量もすさまじいと感じたのだが、INORANは「まだまだ足りない」とでも言うようにジェスチャーや表情で煽りまくる。やはり、音を鳴らす側も、受け止める側も、真向からの真剣勝負。対立する関係ではないものの、そこには火花が散るほどの熱量があって、思わず息を呑む。


セットリストは最新アルバム及び9thオリジナル・アルバム『DIVE YOUTH,SONIK DIVE』からの選曲を中心としながら、5thアルバムからの「Rightaway」など、ライブでの人気曲ももちろん、盛り込まれている。観客はサビで手を挙げて勢いよくジャンプし、全身で音楽を受け止めている様子。やがてINORANは手で押さえるようなジェスチャーで「静かに!」と声のボリュームを下げさせると、自身も、ささやくような、うめくような声色にチェンジ。その後サビで抑制を解除し、メリハリをつけることで更なる起爆力を生んでいた。


「ヘイヘイ、東京!」と笑顔でフロアに語り掛けると、「すげえいい景色だぜ。1曲目からちょっとウルッと来ちゃったんだけど(笑)。この感情を隠せない。東京、最後まで行けるか?」とINORANは問い、激しいギターリフから「Hide and Seek」へと雪崩れ込む。ドラムのRyo Yamagataが刻む裏打ちのリズムに合わせ、INORANは頭を激しく振り、音の中へと没入していく。目まぐるしく明滅する光の中、ギターソロではMurataと向かい合って狂おしいプレイ・バトルを見せ、曲が終わった途端に弾けんばかりの大拍手を巻き起こした。赤く染まったステージに、続いて鳴り始めたのは、「Awaking in myself」。ポップなメロディーラインに4つ打ちをベースとしたリズム、明るいコード展開を持つ曲で、観客はジャンプしながら音に身を任せ、楽し気に歌っていた。INORANも眩しい笑顔を見せ、生き生きと実に楽しそうに歌い、演奏しているのが見て取れる。そんな朗らかなシーンの直後に「2Lime s」を投下、妖しげなパープルのスポットを浴びながら再び重心を低くしたポジショニングでギター・リフを繰り出し、歯切れ良くシャウトする。赤に切り替わったライティングに照らされる中で繰り出される、0コンマ何秒の絶妙なタメが生み出す、粘り気のあるグルーブ。大人のロッカーにしか醸し出せないセクシーさ、ダーティーさに満ちていていて、ゾクゾクさせられっ放し。Murataがバイオリンの弓のような形状のスティックでギターを掻き鳴らし荒々しく奏でる一方で、INORANはクルクルと回転して体の向きを軽やかに変えながら、音の渦の真ん中に陣取り、全体の空気をしっかりと牽引していた。


息を切らしながらINORANは「なんか、気持ちいいな!」と一言。「雨降ってた?」と、各所で雨男と呼ばれていることをネタにして笑わせつつ、「(2015年)9月にBEAUTIFUL NOWツアーをやりまして、その途中で、感触が良くて気持ちよくなっちゃって……『足りない、もっと!』となってしまって。俺のわがまま、無茶ぶりで今回のツアーが実現しました。無茶ぶりながらも、いろいろと調整してくれたスタッフ、メンバー、小屋(ライブハウス)を空けてくれた全国のイベンターとか……ファミリーに感謝!」と本ツアー開催に至る経緯を説明し、感謝を述べる。「そんなツアーなので、全国まわって来まして、めちゃめちゃ楽しかったし、本当にやって良かった。人生ってチャレンジすればするほど失敗もあるけど、恐れずに前に進んでいくと、気付かなかった自分に出会えたり、人との絆とか、人との繋がりとか……涙が出そうなものがたくさんありました。本当に皆のお陰でこうやってツアーできると思うので、まだ(ライブの)中盤ですけど、言わせてください。どうもありがとう!」とINORAN。「お前らの要らないもの、今日はもらってやるから」とも語り掛け、「久しぶりのナンバー、行きたいと思います」と告げると、ネックを床に垂直になるほど身に引き寄せ傾けて奏で始めたのは、「no options」。気怠いフレーズをいななくように爪弾き、曲の世界へと引き込んでいく。続く「Sakura」も気怠いムードを漂わせる美しいロッカバラードで、ハスキー・ボイスが得も言われぬ哀切を帯びていて、デヴィッド・ボウイを彷彿とさせる味わいがあった。アコースティック・ギターに持ち替えてスタートしたインストの新曲は、音と音とが絡まり合ってくぐもった音塊となり、さらには深いリバーブがそれらを包囲。スモークが噴出する演出効果も相まって、深遠な世界へと聴き手を誘う。観客はじっと立ち尽くし、あっけにとられるようにしてステージを見つめていた。INORANがステージを一旦去ると、「ロックン・ロール東京! ブッ飛んでくれ!」とのMurataのコールを合図に、残った3人で狂気をはらんだ激しいセッションへ。再びINORANがステージに戻ってくると、「あったまってきたな! 今日、最高だな、恵比寿!」と満足気にフロアを見渡した。すると、ベースのu;zoが、メキシコからやって来た別名“Shiko:ZO”に扮して登場する、ここ最近のツアーではお馴染みのコーナーがスタート。ラジカセを持って登場したShiko:ZOに対し、ステージの片隅に立ち、いたずらっぽい笑顔で観客にブーイングを促すINORAN。「ミュージック、スタート!」の掛け声には温かい手拍子が沸き起こったにも関わらず、ラジカセの不調で音が途切れ途切れ……というまさかのハプニングに、INORANは爆笑。Shiko:ZOが去る際、すれ違いざまにINORANから飛び蹴りされるという、まるでショートコントのような一幕で笑わせた。



「一回涼しくなったところで(笑)、ここから壊して行こうか!」とINORANが呼びかけ、放ったのは「SuperTramp」。熱を帯びたロックン・ロールでフロアの空気をかき混ぜていく。そして、ギターを肩から外し、敬愛するhideの「ピンクスパイダー」(最新アルバムにてカバー)を熱唱。激しいジャンプを繰り返し、最初はマイク・スタンドを両手で握り締めるようにして、やがては、ハンド・マイクに持ち替えて力強く歌うINORAN。昨年のツアー同様、フロアにマイクを向け共に歌う場面も多々あったのだが、アンコールツアーのファイナルともなると、オーディエンス側にそれに応える用意がしっかりと整っていたのが印象深かった。単に盛り上げるため、一体感を高めるためのコール&レスポンスとは違って、INORANの姿は、hideの想いやアティテュードを引き継ぎながら、音楽の力を信じるファンの気持ちを預かって束ね、旗を掲げて未来へと突進して行こうとしているように見えた。最後には客席に降りる、という驚きの場面もありつつ、ボルテージが最高潮に高まる中、「Nasty」「grace and glory」を畳み掛け、めくるめくロックの熱狂に観客を巻き込んでいく。「恵比寿、まだ元気あるか!? 野郎、いるか!?」「恵比寿のかわいいレディース!」と男女それぞれに語り掛け、「Get Laid」のコール&レスポンスをレクチャー。試しに出してもらった声を聴き、「だいたい分かった。恵比寿、オシャレ(笑)。オシャレなの求めてないから、今だけはここが恵比寿なのを忘れて!」と観客を焚き付けると、フロアを左右のブロックに分けてコール&レスポンスのレッスン。最後には「恵比寿、カッコいいぜ!」とGOサインを出して、曲が本格スタート。ステージとフロアが混然一体となって熱が生まれ、その温度がどんどん高くなっていくのを肌で感じた。大きな拍手の中で曲を終えると、水にたゆたうようなゆったりとしたテンポ感が心地よい「raize」へ。この曲が収録されている3rdオリジナル・アルバムがリリースされたのは、ちょうど今から10年前の2006年。渾身の歌声で発せられた<哀しみで強くなれた 歓びは僕等を包む><何度でも願うよ>というフレーズに、これまでの活動の軌跡が自然と想い起こされて胸が熱くなった。


「今回のツアー、まだまだ旅を続けなきゃいけないな、と思ったり……こういうライブのこの瞬間、最高の一瞬をずっと用意する、というか。いつでも皆が帰って来られるように。どんなことがあっても、こうやって顔を見合わせて、体温を感じて」と、音楽活動への真摯な想いを改めて吐露。「未来のことを考えてたらキリがないけど、未来は絶対明るいはず、と信じて。情熱はあるんだけど、(俺は)夢を諦めてたな、と思って。情熱を持って夢を見ないといけない。片方だけだとダメなんだよな」と、INORANが真剣に紡ぐ言葉の一つひとつに耳をそばだてる観客たち。そして、「そんな想いを抱きながら、前を向いて、魂を込めて、この場所をずっとキープしておくから。分け合おうぜ!」と決意表明。また、このツアー後、8月にはソロ(11枚目のオリジナル・)アルバムをリリースすることも発表。「こんないい想いをしたら、すぐ作れちゃうから大丈夫だよ」と頼もしい発言も飛び出した上に、「9月にツアーやります!」との、うれしい発表も。最後は、アルバムを締め括る曲であり、このツアーのテーマとも呼べる「All We Are」で観客と声を合わせ、「最後、一つになろうぜ!」と呼び掛けたINORAN。<風が吹く この場所で>と歌いながら足元を指さし、直前のMCでも熱く語った、“この場所を守り続けたい”という想いをまさに、体現していた。



最後にメンバー紹介をすると、4人で肩を組み、INORANは「最高のツアーでした! 最高の皆、必ずまた会おうな! See you next time, Bye!」と手を振って笑顔でステージを去った。いつまでも歩みを止めることなく、変化・前進し続けることをこの日、改めて宣誓し、それを既に実行に移していることが、発表された怒涛のスケジュールからも明らかなINORAN。9月2日(金)から始まるツアー・タイトルは、ストレートに【INORN TOUR 2016 -Thank you‐】、本公演のMCでしきりに感謝の言葉を口にしていたのも頷ける。ソロ活動以外にも、LUNA SEAはもちろん、昨年10年の時を経て再始動したTourbillon、更にはMuddy Apesとしての活動にも並行して取り組んでいる多忙さで、どの場所においても貪欲に音楽的な新たな挑戦をし続けている。キャリア的には落ち着いてしまっても何らおかしくはないベテランのはずなのに、INORANは常に探求心を持ち新しい場所を目指して移動し、果敢に壁に挑み、安住を求めないのである。そんな永遠の旅人INORANが次に求める地平はどこなのか? 次なる活動にどうか直に触れ、自身の目で確かめてみてほしい。
(取材・文/大前多恵)

≪セットリスト≫
1. New song 1
2. Beautiful Now
3. might never see, might never reach
4. Rightaway
5. Hide and Seek
6. Awaking in myself
7. 2Lime s
8. no options
9. Sakura
10. New song 2
11. Dr & Bass
12. SuperTrump
13. ピンクスパイダー
14. Nasty
15. grace and glory
16. Get Laid
17. raize
18 All We Are

最終更新:5月17日(火)6時45分

エキサイトミュージック

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。