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ミニマム生活のお手本にしたい朝ドラ『とと姉ちゃん』

dmenu映画 5月16日(月)8時30分配信

朝ドラこと連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK 総合 月~土 午前8時、BSプレミアム 月~土 午前7時30分)が好評だ。各週で最も高かった番組平均世帯視聴率は、第1週の4月4日(月)に22.6%、第2週の4月15日(金)に23.6%、第3週の4月21日(木)に24.4%、第4週の4月27日に24.6%(すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録するなど順調に上昇し、余裕で20%を超えている。視聴率が20%を超えることが難しい昨今のドラマの中で、希望の星だ。

いったい何が視聴者を引きつけているのだろう。

ヒロイン・とと姉ちゃんこと常子(高畑充希)は、幼い頃、父(とと)を亡くし、母と妹2人という女だけになってしまった家族を守ろうと奮闘している。雑誌界のカリスマ的存在『暮らしの手帖』の創業者をモチーフにしているためか、常子らの暮らしのセンスがすこぶるいい。ドラマの時代設定である昭和初期の庶民のファッションやインテリアや食事などが、さりげなくセンス良く配されていて、眼福だ。

それらを見ていると、自然と、衣食住といった毎日の“暮らし”の基本を見直そうという気分になってくる。キッチンをきれいに機能的に整えたり、居間や子ども部屋をちょっとした可愛らしいもので飾ったり、相手の故郷によってみそ汁のお味噌に配慮したり。ドラマでさりげなく描かれているそういうことを大切にしたいなと思う。靴を脱いだら向きを変えてちゃんと揃える。体を90度に前傾して丁寧に挨拶する。なんていう動作にもハッとさせられるばかり。亡くなった“とと”が遺した家訓は「一、朝食は家族皆でとること。一、月に一度、家族皆でお出掛けすること。一、自分の服は、自分でたたむこと」。“服をたたむ”ということも、日々の喧噪に追われて疎かにされがちだけれど、ちゃんとやることって大事だよなあなんて改めて思わされてしまった。

目下、常子一家は、住み込みで深川の仕出し屋さんで働いている。そこでのお弁当も朝から美味しそうで和む。第6週では親子丼や卵焼きが出てきて、もうたまらない。

戦後の東京下町を舞台に、貧しいながら家族と支え合って生きる姿を通して、昭和の生活を愛おしむというと、今から10年ほど前、『ALWAYS 三丁目の夕日』という漫画原作の映画が大ヒットして、シリーズ化されたことを思い出す。『とと姉ちゃん』が受けているのも『三丁目の夕日』ブームに近いのではないだろうか。とりわけ近年、物をなるべくもたない“ミニマムな”生活というものが注目されているから、とと姉ちゃん家族の慎ましくもセンスある生活はかっこうのお手本になる。

宇多田ヒカルが5年4カ月ぶりに活動を再開して書き下ろした主題歌『花束を君に』を毎日聴いていると、「ああ、今日は花でも買って家に帰ろうかな」、なんて気持ちも芽生えてくる。

登場人物のやりとりもほのぼのしていて、心穏やか、優しい気分になれる朝ドラだ。

文=木俣 冬

最終更新:5月16日(月)8時30分

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