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合意「賛成」半数超す 日本に強い不満も 追加開放要求の恐れ TPPで米国団体 本紙調査

日本農業新聞 5月16日(月)12時30分配信

 日本農業新聞は、米国の主要な農業団体を対象に、環太平洋連携協定(TPP)の合意内容に対する態度を調べた。賛否を表明している18団体中14団体が賛成で、そのうち11団体が米国議会に批准の手続きをするよう働き掛けていることが分かった。一方で、TPPによる市場開放のしわ寄せが米国産に及ぶことを懸念し、米、乳製品の団体は強い不満を表明。追加的な市場開放を米国議会や政府に求めている。一層の対日圧力がかかる可能性がある。

 全米を代表する25農業団体にアンケート調査とインタビューを試みた。一部は回答しなかったが、この間のTPPに対する公式声明から分析した。賛成は条件付きを含め15あり、反対は三つにとどまった。主要作目別団体や全米農業連合会(AFBF)など米議会に影響力のある団体はTPP推進の立場だった。

 本紙調査には19団体が応じた。賛成団体の中で11が米議会のTPP批准を「最重要課題」とし、組織運動をしていることが分かった。TPP発効で輸出増加を見込む国は「日本」が一番多く「ベトナム」が続いた。

 北米食肉協会(NAMI)のウイリアム・ウェストマン国際担当副会長は「TPPは重要なアジア太平洋地域で戦略的な関連を強化し、われわれの競争力を高め、好条件の雇用を守る」「今後も米国議会と密接に協力し、正式批准と発効に向けて努力する」との声明を本紙に寄せた。

 一方、反対表明した3団体は中小規模の家族農業を基盤とし、従来から自由貿易に消極的だった。民主党に近い全国農民連合(NFU)は3月の総会でTPP反対を正式に決めた。「他国が行う為替操作に触れていないことや過去の通商協定の失敗を繰り返す恐れがある」というのが理由だ。

 米の業界団体はTPP合意に不満を示す。日本市場で新たな7万トンの輸入枠を確保したが、「市場開放は不十分」との判断だ。一方で米国最大の輸出先のメキシコが関税を撤廃するため、同国市場を狙うベトナム産米との競合を強く懸念している。

 日本の米市場開放を強く主張してきた米国米連合(USARICE)は、TPPへの態度を保留。米国米生産者協会(USRPA)のドワイト・ロバーツ会長は「TPPは米国の米産業に利益をもたらさない」と言い切り、反対を鮮明にした。

 乳業団体の全米牛乳生産者連盟(NMPF)は「合意の大枠は支持するが、カナダ、日本向けの市場開放では不満」として条件的賛成の立場だ。

 既に賛成を明らかにしている全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)、全米養豚評議会(NPPC)などは、本紙への回答を拒否した。(特別編集委員・山田優、協力エド・マイスナー=ワシントン)

日本農業新聞

最終更新:5月16日(月)13時4分

日本農業新聞