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“8K大喜利“も登場「笑点8Kスペシャル」実現の裏側と放送技術の未来

SENSORS 5月16日(月)18時30分配信

3月に行われた、日本テレビの技術展示会「デジテク2016」。この「デジテク」は30年近く前から社内の展示会からスタートし、現在の外部に開放された形式になってからは15回目の開催となった。

この中でひときわ注目を集めていたのは「笑点8Kスペシャル」。解像度 横7,680×縦4,320、1秒間60コマの情報量をもつ映像フォーマット・8Kを使って、長寿番組「笑点」を収録したという試みだ。なんと大喜利のテーマに「8K」が登場するといった力の入れようだ。
この「笑点8Kスペシャル」実現の経緯や、「デジテク」近年の展示の傾向などを、日本テレビ放送網(株) 技術統括局 技術開発部 甲斐 創、蓑毛 雄吾、両名が語った。

8Kは、放送はもちろん医療などでの活用も

総務省が掲げる8Kのロードマップでは、2016年に試験放送を開始し、2018年までの可能な限り早期にBS等による実用放送を(4Kとともに)開始する目標となっている。
4Kも8KもイメージフォーマットはHDの整数倍で定義される。比較的大画面視聴を想定しているため、動きによるモーションブラーを低減するよう1秒間のコマ数はHDの2倍か4倍を目標としており、時間当たりの情報量が32倍から64倍にも及ぶ。そのため、大容量データの高速処理、記録、伝送技術や超高精細表示技術など、幅広い技術革新が必要とされている。


甲斐:なぜ8Kの実用化が推進されているかというと、4Kは元々アメリカの映画業界がフィルム映画をデジタル化していく中から開発された技術であるのに対し、8Kは日本のNHKが開発し標準映像フォーマットとして提案してきた技術であるという面があるためです。当初は2025年の実用化が掲げられていたように記憶していますが、東京オリンピック開催決定や他国との技術競争もある中で2018年が目標となっています。弊社としましては、技術の課題抽出などを目的に、まずはチャレンジしてみようと。

--「笑点」が題材になった理由はあるのでしょうか?

甲斐:「笑点」は、多くの番組が白黒放送であった1966年にカラー放送で始まりました。その後、ステレオ放送やデジタルVTRでの収録をいち早く取り入れたり、2014年には4Kで「笑点特別版 桂歌丸 至極の芸」を撮影したりするなど、番組の伝統として“新しい挑戦への前向きさ“があります。今回の話が出た時も、笑点が放送開始50年の節目を迎えるにあたり、単に8Kで制作するだけではなく、番組内容に8Kネタを盛り込んだ形で実現することができました。

--8Kの実用化に向けての課題は、どのようなものでしょうか。

甲斐:まず、8Kで撮影したデータは容量が大きいので、そのデータを格納し伝送するという点に課題があります。その映像を切り替えるスイッチャー装置も、まだ単純なエフェクト効果を与えることしかできません。その映像を各家庭に実サービスとして届ける為の電波の帯域確保もまだこれからになります。

--実用化後、活用法として想定されているシーンはありますか?

蓑毛:HDでも8Kでも、撮影するコンテンツ自体は変わらないと思います。ただ作り方は変わる可能性があります。例えば、サッカーの試合では選手の表情や背番号などがより鮮明に見えるようになりますから、これまでボールの動きを中心に行っていたカメラワークが、全体のフォーメーションが見渡せるような広めの映像に変わるかもしれないですよね。


また、「笑点」を8Kで見たときに、人の活き活きした表情がよりリアリティを持って伝わるが故に、ごまかしが利かないとも感じました。あらゆる局面で、ディテールが今以上に重要になってくると思います。
また8K自体は、映像技術としては流通経路を問わなければいろんなところで使える技術であるという。両名より例として挙がったのは、一つは医療現場。解像度が高ければより精度の高い検査・治療が可能になるだろう。もう一つは、屋外でのパブリックビューイングなどのイベント。遠くからでもより鮮明に映像を見ることも出来るため、遠くからビジョンを見るシチュエーションにも相性がいいという。さらにはもう一つ、繊細な映像表現を行うアートのシーンにも活用し得るだろうとのこと。

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最終更新:5月16日(月)20時32分

SENSORS