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庭につくられた共有スペースの役割とは?〈藤棚のアパートメント〉/神奈川

Webマガジン コロカル 5月16日(月)14時43分配信

リノベのススメ vol.109

コロカル・Web連載【リノベのススメ】とは?
地方都市には数多く、使われなくなった家や店があって、そうした建物をカスタマイズして、なにかを始める人々がいます。4つの都市から週替わりでお届けする、リノベーションの可能性。今回は、横浜市・黄金町を拠点に、インテリア&プロダクトデザイン、インスタレーションなど建築にまつわる様々な活動に取り組んでいる設計事務所〈アイボリィアーキテクチュア〉に担当していただきます。

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こんにちは。アイボリィの永田です。今回は僕らがアイボリィを設立するきっかけとなった木造アパートの改修プロジェクトを紹介したいと思います。

僕らは今年でアイボリィを設立して3年目になるのですが、このプロジェクトのお話をもらったのは3年以上も前です。紆余曲折あり現在まさに、というか、やっと進み始めた非常につき合いの長いプロジェクトです。

この木造アパートは横浜の戸部というエリアの、5つの商店街が連なる藤棚町にあります。藤棚町は名前の通り、藤棚が由来となっているのですが、通行人のための憩いの場として設けた藤棚が評判となって町名になり、今でもまちの入り口にその名残を見ることができます。

藤棚町と、オーナーの川口ひろ子さんと僕との出会いは大学院の頃。僕はその頃、建築家の西田司さんが設計された、戸部にある〈ヨコハマアパートメント〉というシェアアパートに住んでいました。

〈ヨコハマアパートメント〉は1階に大きな共有部をもつ特徴的なアパートで、定期的に展示が行われたり、書き初めや流しそうめんといった季節に合わせた住民同士のイベントが行われたり、日頃からさまざまな活動が行われている場所です。

学校に通いながら展示の企画や会場構成などを仲間とやったり、学校の課題制作をつくったりしながら2年ほど住んでいましたが、その間にオーナーさんとも仲良くなりました。卒業が決まって引っ越しをすることになったときに「いずれ今度はあなたにアパートをお願いするから!」と送り出してもらったのを覚えています。

その後2年ほど上海で働いていたあるときに、川口さんから「アパートの改修はいつやってくれますか?」と連絡が。正直本当にやるとは思っていなかったのでとてもうれしく、ちょうど前の事務所を退職したタイミングというのもあったので帰国を決意しました。日本ではその頃原崎もひとりで仕事を始めていたところだったので、帰国したときに声をかけてこのプロジェクトを始動、これを機にアイボリィも設立することになりました。

ヨコハマアパートメントの大きな特長だった1階の共有部。今回のアパートでもそのような活動のできる場所が欲しいというのがオーナーさんの要望でした。同じオーナーさんが同じ地域に2軒、このようなアパートを展開することで、まちとの関わりに広がりが生まれます。それはとてもおもしろいことなのでぜひやりましょうと、この計画はスタートしました。

ただ、藤棚町にあるこのアパートは、いわゆる風呂なしアパートで、居室は3部屋。それといって特徴があるわけではなく、どちらかというとありふれた古い建物でした。

おまけに崖の下で境界線は曖昧、車は入らない。施工もなかなか大変そう。

ただ目の前には庭が広がっていて緑も多く、静かな場所だったのでこの庭を使えると、とても心地いい場所になりそうでした。

以前はアパートの住民とオーナーという関係でもあったので、当時の生活の中での実感などをオーナーさんと意見を交わしながら2~3か月かけてアパートの骨格となるコンセプトをつくっていきました。

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最終更新:5月16日(月)14時43分

Webマガジン コロカル