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39歳で生まれて初めて音を聞いた 目と耳に障害がある人生を彼女は愛す

BuzzFeed Japan 5月17日(火)7時19分配信

生後16カ月で全聾だと診断されていたイギリス人のジョー・ミルンさんは、39歳のときに人工内耳の手術を受けた。ジョーさんが人工内耳のスイッチを入れ、人生で初めて音を聞いた瞬間を撮ったビデオはYouTubeで300万回以上再生された。【BuzzFeed Japan / 山光瑛美】

「聞こえますか?曜日をもう一度言いますね。月曜日、火曜日、水曜日……」

聴覚学者のゆっくりとした声が響く部屋で、ジョー・ミルンさんは、最初、少し驚いたような表情を浮かべた。そして、こみ上げる感情をこらえきれず、顔を覆って泣いた。

「イエス、イエス。甲高い声が聞こえます」

それが、ジョーさんにとって生まれ始めて聞く「音」だった。2014年3月、39歳のときのことだ。

生後16カ月で全聾だと診断されていたイギリス人のジョーさんは、この年、内耳に電極を埋め込む手術を受けた。その4週間後、人工内耳が機能するかどうかを試した。

「素晴らしいわ。さあ、笑って」

立ち会ったジョーさんの母親が話しかける。娘が人工内耳のスイッチを入れた瞬間をビデオで記録しながら。ジョーさんは膝を抱えてうずくまりながら、泣き続けた。

ジョーさんが人工内耳のスイッチを入れた瞬間を撮ったビデオはYouTubeに投稿された。39歳で音の世界と出会った感動が伝わるこの動画(https://www.youtube.com/watch?v=IyDdVJ81Ixs)は、300万回以上再生された。

人工内耳の手術をしても、100%聞こえるようになる保証はなかった。それでも踏み切ったのには、理由がある。

ジョーさんは29歳の頃、視野が狭くなっていると感じ、医師に相談した。難聴だけではなく、視覚障害を伴う難病アッシャー症候群だった。完全に視覚を失う前に、聴覚が欲しかった。

ジョーさんは昨年、自身の経験を綴った著書「音に出会った日」を出版した。今年4月には、邦訳もされた。アッシャー症候群や外見からはわからない障害を理解してもらおうと、FacebookやTwitterでも障害について発信している。

BuzzFeed Newsは邦訳の出版を機に来日していたジョーさんに取材した。

手術前は、読唇術を使って会話を読み取り、口語で話していた。人工内耳がある現在、聞くだけで会話を理解するようになった一方、視野は「双眼鏡を逆から覗く範囲」まで狭まっている。だが、「目が使える限りは、思う存分使いたい」と、敢えて唇を読み続けている。

私はジョーさんと向き合って大きく口を開けてゆっくりと質問をし、ジョーさんは口語で答えてくれた。

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最終更新:5月17日(火)7時19分

BuzzFeed Japan

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