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社説[がん死減少目標]地域の事情 対策の核に

沖縄タイムス 5月18日(水)5時0分配信

 県が掲げる、がん死亡率の減少目標が達成困難な状況となっている。
 がんは1977年からずっと県民の死因のトップで、亡くなる人の3割近くを占める病だ。誰もがかかる可能性があるだけに、対策の強化と加速化を求めたい。
 琉大医学部付属病院がんセンターが、県から委託を受けてまとめた「県がん対策推進計画(第2次)分析報告書」によると、2013年の75歳未満のがん年齢調整死亡率は、05年と比較して、男性10・9%、女性5・3%の減少となっている。
 年齢調整死亡率は人口の高齢化など年齢構成の違いによる影響を取り除いた数値で、第2次県がん対策推進計画では、05年から15年までに「20%減少」の目標を立てている。
 報告書は、現時点で計画終了時の減少見込みは、男性15%、女性11%にとどまると推測する。目標達成はかなり厳しい。
 同様の指標を掲げる国も、目標に届かないことが既に分かっている。検診の受診率向上による早期発見や、喫煙率の低下によるがん予防といった対策が十分機能していないためだが、それでも05年からの10年間で17%減という数値を予測している。
 結果として、県のがん死亡率減少のスピードの鈍さが目立つ。特に女性は目標値と大きな隔たりがあり、気にかかる。
 健康長寿の危機同様、生活習慣や検診率の低さ、社会的要因などが複雑に絡み合っているのだろう。
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 75歳未満のがん死亡率を13年の全国順位でみると、男性は13位、女性は25位。しかし大腸がんに限ると男性は全国で5番目、女性は2番目に高い。
 国際医療福祉大学大学院の埴岡健一教授は、沖縄の五つの医療圏を含む全国344の二次医療圏のがん死亡の状況を調査し、大腸がんで沖縄「中部」の男性が、344医療圏中21番目と高さが際立っていると報告している。(「中央公論」6月号)
 大腸がん死亡率の高い地域であることがはっきりしているのだから、すべきはそのリスクを取り除くことだ。
 肥満や運動不足、食生活、喫煙、飲酒などの生活習慣を無視して予防はできない。早期発見・早期治療が重要なのは言うまでもない。
 大腸がんを発見するため、あの手、この手を駆使した、一歩踏み込んだ検診の推進が行政の仕事である。  
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 がん検診で「精密検査が必要」との結果が出ても、医療機関で精密検査を受ける精検受診率の低さが指摘され久しい。大腸がんの精検受診率は46・7%(11年)で、半分以上が放置したままだ。
 がんと診断されるのが怖いのかもしれない。生活に余裕がなく治療費を心配しているのかもしれない。
 対策の実効性を高めるには、健康管理がちょっと苦手という県民性や経済的事情への目配りも必要だ。
 「大腸がんを減らすこと」が、沖縄の健康長寿復活の鍵を握っている。

最終更新:5月18日(水)5時0分

沖縄タイムス