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実験開始を検討 電力の先物取引の実現で、どんなメリットがあるの?

THE PAGE 5月20日(金)7時0分配信

 東京商品取引所が電力先物市場の実証実験を開始するそうです。今年の4月から電力の小売自由化がスタートし、消費者は複数の事業者から価格や電力プランを選択できるようになりました。

 自由化が進むと、電力の卸市場における取引が盛んになり、価格変動を回避するため先物取引も必要となってきます。今回の実験はこうした状況を見据えた措置ということになります。そもそも先物取引とはどのようなもので、電力が先物取引されると何が起こるのでしょうか。

 一般的な取引は、今時点の価格で商品や資産のやり取りを行います。当たり前のことですが、今100円のリンゴは100円を出せば手に入れることができます。しかし先物取引は、一般的な取引とは異なり、将来の定められた期日に、その商品を取引するための価格です。先ほどのリンゴの例に当てはめてみると、半年後にリンゴが200円に値上がりしそうだと皆が思っていれば、半年後を期日としたリンゴの先物価格は200円ということになります。この場合、200円を出さないと、半年後にそのリンゴを手に入れることはできません。もし半年後にリンゴが300円に値上がりしていた場合には、300円のリンゴを200円で入手できますから、この先物を買った人は得することになります。逆に半年後に100円に値下がりしていた場合は、すでに200円で買っていますから、この人は損してしまいます。

 もともと先物市場は、農家が価格変動の影響を回避することを目的として作られました。来年、収穫できる農作物を先物市場で売ってしまえば、農家はその後の価格がどのように変動しても、一定の収益を確保することができます。これによって、飢饉や豊作のリスクをあまり考えずに農作物を育てることができます。電力の先物市場も基本的にはこれと同じメカニズムです。

 これまで日本の電気は法律で厳しく規制されており、地域に1社しかない電力会社が独占的にサービスを提供してきました。各電力会社は発電から送配電まですべてを1社でこなしますから、このような市場は必要ありませんでした。しかし4月からは電力の小売が自由化され、2020年には電力会社の発電部門と送配電部門が分離され、自由競争がさらに進むと予想されています。

 発電、送配電、小売の事業者がバラバラになると、価格変動リスクを避けるための市場整備が必要となります。先物市場を利用すれば、小売事業者は3カ月後や半年後の電力をあらかじめ決まった価格で調達できるため、安定した事業運営が可能となります。小売事業者の経営が安定すれば、消費者も安心して電力会社を選べるようになるでしょう。

 ただ先物市場の運営にはそれなりのノウハウの蓄積が必要であり、すぐに商用サービスを開始できるわけではありません。取引所では実験を通じて実用性を確認したい意向です。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5月20日(金)7時0分

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