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[今語りたいフットボーラー! 4]乾はなぜ鬼門リーガで成功したのか 香川と過ごしたセレッソ時代に掴んだ“どっちも生きる”感覚とは

theWORLD(ザ・ワールド) 5月18日(水)19時12分配信

飛躍へのキーワードは周りとのコチョコチョ

ドイツでの乾貴士が不完全燃焼だった理由は、本人の中ではとても明確だった。
ちょうど1年前、ブンデスリーガでのラストシーズンを終えた彼に「スペシャル」というテーマで話を聞く機会があった。一般的には、“セクシーフットボール”を掲げる野洲高校時代から、その象徴的存在として注目された「個人技」こそ彼の武器であると見る向きが強い。しかし彼は、自身に対するそうした偏見をあっさりと否定した。

「よく『ドリブル』とか『個人技』と言われるんですけど、それは違いますね。スペシャルじゃありません。特別な武器なんて、ないんですよ。プレイとして好きなのは、周りとコチョコチョする感じのプレイですね。感覚さえ合えば、その人の力を引き出せるのが自分の特徴というか……」

今シーズンにおけるリーガ・エスパニョーラでの挑戦を「成功」と捉えるなら、それを導いたのは彼が言うところの「周りとコチョコチョする」ができているからに他ならない。乾が最も得意としているのは、圧倒的な個人技を駆使して局面を打開するプレイではなく、チームメイトとの連係を“歯車”の1つとして機能させることだ。

「海外に出ると、個人技だけで勝負できるほど甘くないですよ。メッシにはなれない。どちらかと言うと、イニエスタを目指すべきなんですよね。そういうことを思いはじめたのは、セレッソ大阪で(香川)真司たちとプレイしてからかな。“どっちも生きる”という楽しさを覚えて、自分にはそれが向いていると思ったんです」

ドイツでは4シーズンを過ごしたが、セレッソ時代に感じた“どっちも生きる”充実感を再び覚えることはなかった。事実上のラストイヤーとなった2014-15シーズンは、27試合に出場。チームは9位とそこそこの成績を残したが、乾にとっては「キツイ1年」だった。

「試合に出してもらいながら結果を残せなかったので、不甲斐なかったし、キツかったです。チーム自体もそれほどうまくいっていたわけではなかったので……。ドイツでは僕みたいに“周りとコチョコチョする”ことを得意とする選手がいなかったので、そういうところに物足りなさは感じていました。移籍? まあ、ぶっちゃけしたいですけど、こればっかりはわかりません」

エイバルへの移籍が発表されたのは、含み笑いを見せながらそう話した数週間後のことだった。

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最終更新:5月18日(水)19時12分

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