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為替介入撤廃後、値動きは安定 時計の輸出も好調 スイス・フラン

THE PAGE 5月23日(月)7時0分配信

 スイス・フランはスイスの通貨です。スイスはよく知られているように永世中立国であり、欧州各国とは政治的にも経済的にも一線を画しています。ユーロ圏にも入っておらず、独自通貨であるスイスフランを用いています。

気になる国と通貨のいま

GDPは日本の2倍以上 最低賃金も高い

 リーマンショック以降、欧州経済は低迷が続いていましたが、スイスだけは例外で、プライベートバンクをはじめとする高度な金融サービス業や高級時計に代表される高付加価値製造業によって、好調な経済を維持してきました。スイスの1人あたり国内総生産(GDP)は日本の2倍以上もあり、800万円を超えています。おおざっぱに言ってしまえば、1人あたりGDPは国民の平均年収に近い数字ですから、スイスは突出して豊かな国です。スイスでは最低賃金を22スイスフラン(約2500円)にする国民投票が行われました。最終的には否決されましたが、実際、このくらいの賃金がないと十分に生活できないとも言われています。

 好調な経済を背景にスイス・フランには買いが集中しやすい状況が続いてきましたが、スイスは製造業の国ですので、過度なスイス・フラン高はあまり望ましくありません。このため、スイス中銀は、1ユーロ=1.2スイス・フランという為替上限を設定し、これ以上の通貨高になった場合には、無制限にユーロ買いの介入を実施する政策を続けてきました。これによって対ユーロでスイス・フランは3年ほど安定的な動きを見せていました。

時計の輸出は好調で、スイス・フランは安定

 ところが2014年の後半から欧州の景気低迷が再度意識され、スイス・フランには買いが殺到するようになりました。スイス中銀は価値が減価するユーロを保有し続けると、同行のバランスシートが劣化してしまうことから、15年1月には、為替介入の上限を撤廃しています。スイス中銀の決定直後は為替市場が動揺し、1日で30%もスイス・フランが高騰するという事態となりました。外国為替証拠金取引(FX)を行う投資家の中には大きな損失を出した人もいたようです。しかし、その後の値動きは徐々に安定し、最近では欧州の景気が上向いていることから、スイス・フランの高騰も一服しています。

 このところ世界経済の停滞懸念からスイスにおいても成長鈍化の兆しが見られましたが、基幹産業である時計の輸出は今のところ好調です。大きな動きがなければ、スイス・フランはしばらく安定的に推移する可能性が高いでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5月23日(月)7時0分

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