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フクロウが帰ってきた!! ネズミを食べるリンゴ園の味方 青森県弘前市の農家グループ

日本農業新聞 5月20日(金)13時0分配信

 青森県弘前市のリンゴ産地に、リンゴの木を食害するハタネズミの天敵、フクロウが帰ってきた。昨年までに二つの農家グループが約70個の巣箱を掛けた。木の「うろ」も含め13個で営巣し、今春35羽のひなが育ったことを弘前大学が確認した。今年は例年に増してハタネズミの発生が多いが、営巣した園地では「ネズミが少なくなった」(農家)と、“フクロウ効果”を感じている。

 フクロウは秋から冬にかけて雄が巣を探し、3月上・中旬に営巣して産卵。1カ月後にひながかえって5月ごろに巣立ち、夏まで園地の近くにすみつきながら、ネズミを食べる。だが「昔は身近にいたが今は少なくなった」と地元農家は振り返る。

“天敵効果”を実感 巣箱せっせと・・・ 営巣13、ひな35羽

 近年、収量増や農家の労力軽減に向けて樹高を低くしたリンゴのわい化栽培が導入され、フクロウのすみかとなる「うろ」が減ったためとみられる。その結果、ハタネズミによる樹皮の食害が目立つようになった。

 そこで2014年4月、同市南部の農業後継者ら約30人が「下湯口ふくろう会」を設立、弘前大学の研究者と連携し、フクロウを呼び戻す作戦を始めた。15年は設置した巣箱34個のうち5個で営巣を確認、8羽が巣立った。今年はフクロウが利用できる巣箱は53個まで広がった。

 同市北部でもリンゴ農家5人が15年秋に「モホ組」を設立、津軽弁でフクロウを「もっほ」と呼ぶことから名付けた。今年は巣箱13個を設置した。

 同大学の調査(10日現在)では巣箱は計66個まで広がり、リンゴの木のうろを含めて13個で営巣を確認。35羽のひながかえった。巣箱内にはフクロウが捕まえたネズミが山となっていた。

 研究を担う岩手大学大学院連合のムラノ千恵さん(38)は、今年は1箱当たりの産卵数、ひな数共に多く、林地や木立の近くにある園地の巣箱で営巣を確認した。こうした繁殖成績を踏まえると、フクロウの個体数は増加したと考えている。

 最初のひなが巣立ったのは4月30日ごろで、巣箱をかけた下湯口ふくろう会の石岡壮一郎さん(26)は「巣箱の中にはリンゴの木のチップを入れて、時々かき混ぜてふわふわにした。剪定(せんてい)園地に出掛けた2月27日にのぞいたら卵があった」と喜ぶ。

 「フクロウが来る園地」を目指す農家も出てきた。モホ組代表の千葉悟さん(58)だ。今年、巣箱から4羽のひながかえった。「親フクロウが園地を絶えず見ており、ひなに親がネズミを与えている。今年はネズミの穴がなく、効果があるようだ」と毎日の観察を楽しんでいる。

 弘前大学の東信行教授は「フクロウは1日平均2匹のネズミを食べる。成長期には3匹食べる」と効果を強調する。ムラノさんは「今年は特にネズミの発生が多い。フクロウのいる園地では、ネズミの巣穴があってもネズミを見かけない」と指摘。今後、詳細なデータを取ってフクロウの効果を実証し、営巣の条件を明らかにする方針だ。(北條雅巳)

日本農業新聞

最終更新:5月20日(金)13時0分

日本農業新聞