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全国の新設法人数、6年連続で前年を上回る

東京商工リサーチ 5月20日(金)15時30分配信

2015年「全国新設法人動向」調査

 2015年の1年間に全国で新しく設立された法人(新設法人)は12万4,996社にのぼり、6年連続で増加した。ただし、第2次安倍内閣発足後の2013年以降では増加率が最も低かった。
 業種別では、訪日外国人観光客数が過去最高に達したこともあって「宿泊業」が前年比58.6%増加したのに対して、太陽光発電などを含む「電気・ガス・熱供給・水道業」は前年より33.3%減少し、再生エネルギー発電関連の設立ラッシュが一服した格好になった。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象309万社)から、2015年に新しく設立された法人データを抽出し、分析した。

2015年の新設法人、前年比4.5%増
 2015年(1-12月)に全国で新しく設立された法人(新設法人)は、12万4,996社(前年比4.5%増、前年11万9,658社)にのぼった。新設法人数は2009年のリーマン・ショックに端を発した世界同時不況の影響により前年を下回ったが、2010年以降は6年連続で前年を上回っている。

産業別、増加率トップは不動産業の17.8%増
 産業別の前年比では、10産業のうち8産業で増加した。増加率トップは不動産業の17.8%増。次いで、卸売業16.7%増、農・林・漁・鉱業13.0%増、建設業7.6%増、製造業6.6%増、情報通信業5.8%増、運輸業5.3%増、サービス業他1.1%増の順。不動産業は低金利の中、将来の需要増を見込んだ設立が増加した。卸売業は、化粧品卸やジュエリー製品卸などの伸びが目立った。 
 この一方で、小売業は5.2%減で前年を下回った。内訳では、コンビニエンスストアや中古自動車小売、時計・眼鏡・光学機械小売などで減少率が2桁になった。

業種別、宿泊業が増加
 業種別では、前年比で各種商品卸が78.1%増(905→1,612社)、各種商品小売が39.8%増(251→351社)と個人消費の持ち直しから流通関連が高い増加率をみせた。また、訪日外国人の増加や東京五輪開催をにらんで宿泊業が58.6%増(379→601社)と1.6倍増に。さらに、製造業でもパルプ・紙・紙加工品製造が17.6%増(74→87社)、プラスチック製品製造が11.4%増(140→156社)など高い伸びを示し、景気の先行き期待の大きさをうかがわせた。
 一方で、電気・ガス・熱供給・水道業は33.3%減(3,301→2,203社)と前年を下回った。これまで太陽光など再生可能エネルギーによる発電を目的とした法人が多く設立され、増加ぶりが際立っていたが、固定価格買取制度の見直しの動きもあって設立ラッシュが一服した格好だ。

資本金別、小規模な法人が増加
 資本金別では、「5百万円以上1千万円未満」が2万4,387社(前年比12.7%増)、「1百万円以上5百万円未満」が5万6,171社(同3.9%増)と増加したのに対して、「1億円以上」が416社(同12.6%減)、「5千万円以上1億円未満」が574社(同6.5%減)と前年を下回った。最低資本金規制の撤廃が浸透し、小規模な資本金の法人設立が目立つ。

地区別、9地区のうち7地区で前年を上回る 
 地区別では、全国9地区のうち東北と中部を除く7地区で前年を上回った。増加率では、北陸が10.2%増(1,656→1,825社)でトップ。次いで、関東6.7%増(5万8,781→6万2,712社)、近畿5.4%増(1万8,956→1万9,973社)、九州3.2%増(1万1,934→1万2,316社)、北海道2.3%増(4,143→4,239社)、四国1.9%増(2,149→2,465社)、中国1.1%増(4,734→4,888社)の順。
 一方、復興需要に加えて、支援に関わる非営利団体の設立などで増加が目立った東北は3.7%減(5,353→5,156社)で2年連続の減少、中部は1.4%減(1万1,682→1万1,522社)だった。 

都道府県別、33都道府県で前年を上回る
 都道府県別では、東京都が3万7,250社(構成比29.8%)で最多。次いで、大阪府が1万1,042社(同8.8%)、神奈川県が8,387社(同6.7%)、愛知県が5,997社(同4.8%)だった。 
 一方、新設法人数が最も少なかったのは島根県の329社。次いで、鳥取県335社、高知県411社、秋田県419社、福井県449社、山形県が469社の順。
 前年との増減率をみると、33都道府県で前年を上回り全国的に増勢が目立った。増加率トップは、沖縄県(1,482→1,708社)と栃木県(1,102→1,270社)の15.2%だった。次いで、富山県14.0%増(578→659社)、徳島県12.6%増(436→491社)、福井県12.5%増(399→449社)、埼玉県11.5%増(5,278→5,887社)と続く。
 一方、前年より減少した13県では、東北が4県も含まれ復興需要の一巡を浮き彫りにした。
 減少率では島根県の9.4%減(363→329社)を筆頭にして、三重県9.1%減(1,070→973社)、大分県8.9%減(906→825社)、宮城県8.6%減(1,912→1,747社)、愛媛県7.9%減(884→814社)、福島県5.6%減(1,405→1,327社)、鹿児島県5.3%減(1,111→1,052社)、愛知県2.9%減(6,177→5,997社)と続く。このほか宮崎県が前年同数の775社だった。

新設法人率、都道府県別で沖縄県がトップ
 2015年の新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数(最新は2014年度データ)で除して算出した「新設法人率」でみると、沖縄県が8.2%で最も高かった。
 沖縄県は、全国平均より高めの失業率を背景に独立、起業意欲が高いほか、創業時に家族・親族などの支援が得られやすい土地柄などが影響しているとみられる。
 次いで、東京都6.9%、福岡県5.5%、千葉県5.1%、大阪府5.0%の順。これに対し、比率が低かったのは、新潟県2.6%、山形県2.6%、秋田県2.7%、福井県2.8%の順だった。

2015年新設法人の最多商号は「ライズ」
 2015年の新設法人で最も多かった商号は、「ライズ」で56社だった。ライズは、英語で「上昇する、飛び立つ、そびえ立つ」などを意味する「RISE」があり、活気みなぎる企業理念を表しているとみられる。次いで、「クローバー」39社、「アシスト」37社、「さくら」37社、「ワイズ」36社、「アドバンス」34社と続く。
 前年比較では、最も増加したのは「さくら」の19社増(18→37社)で福祉介護関連で目立った。次に「大和」が13社増(8→21社)、「K2」が13社増(6→19社)、「NEXT INNOVATION」が13社増(12→25社)、「MIRAI」が11社増(8→19社)と続く。
 一方、最も減少したのは前年の新設法人で最多商号だった「アシスト」で20社減(57→37社)だった。また、震災後に増加が目立った「絆」は、前年同数の26社だった。商号の文字種類別をみると、2015年の新設法人では、カタカナのみの商号が全体の31.2%を占めた。

法人格別、「農事組合法人」が前年より7割増
 法人格別では、株式会社が8万9,756社(構成比71.8%)で全体の7割を占めた。次いで、合同会社が2万2,053社(同17.6%)、一般社団法人が5,557社(同4.4%)、特定非営利活動法人(NPO法人)が2,540社(同2.0%)、医療法人が1,416社(同1.1%)と続く。

 前年比では、集落単位で農家が各自の農地を持ち寄り、農機具の共同所有や、農作業を行う農事組合法人が70.8%増(439→750社)と伸びが目立った。農業生産で非課税の利点があることも影響した。また企業保有の不動産などの資産を譲り受けて証券化する、特定目的会社が24.4%増(127→158社)で不動産市場の活況を反映した。
 一方で、介護老人保健施設や有料老人ホーム経営などの社会福祉法人が前年比22.6%減(235→182社)、特定非営利活動法人(NPO法人)が同11.4%減(2,866→2,540社)と減少した。また、高い専門性などのニーズに応えるため法人化が進む専門資格職業の「士業」では、社会保険労務士法人が同50.0%増(66→99社)、税理士法人が同14.9%増(282→324社)だったが、弁護士法人は同1.9%減(103→101社)と前年を下回った。   

まとめ
 昨年9月、安倍内閣はアベノミクスの第2ステージとして「新3本の矢」を打ち出し、2020年頃までに名目GDPを600兆円に増やす目標を掲げた。大都市圏との経済格差が広がるなかで、目標達成には地方経済の立て直しが急務である。
 地方産業の成長を促し、雇用や消費を向上させることで、地域経済の活性化を目指す「ローカルアベノミクス」の深化は、今後の「地方創生」と「成長戦略」のカギを握っている。
 2015年の新設法人の動向は、6年連続で前年を上回ったが、増加率は第2次安倍内閣発足後の2013年以降では最も低率で、決して手放しで楽観はできない。
 新設法人を今後いかに活性化させ、育成していくかも重要な課題であり、スピード感ある政策と実効ある地方振興策としての「ローカルアベノミクス」の真価が問われるといえよう。

東京商工リサーチ

最終更新:5月20日(金)15時30分

東京商工リサーチ

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