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医療にテクノロジーのメスを入れる--イノベーター・杉本真樹の挑戦

SENSORS 5月20日(金)13時0分配信

米Apple社が選ぶ世界を変え続けるイノベーター30名(2014年)の一人に選ばれた、杉本真樹医師。彼は医療の現場でVRや3Dプリンターを活用し若手医師の研修効率を向上させ、小中学生向けに医療×テクノロジーをテーマに「考える力」を養うセミナーを行う。彼は一体何者なのか?変化が激しい現代を先導し、未来への道筋を作る杉本氏に医療×テクノロジー、そして人間の拡張についてインタビューを行った。

--杉本先生は、医療の現場でVRや3Dプリンターをどのように使っているのでしょうか?

杉本:VRを使って医師が患者の体内に入っていき、問題があるところをより正確に判断していきます。3Dプリンターに関しては「可視化」とさらに「可触化」が出来るメリットがあり、患者のデータがそのまま手で触れるようになり患者の体内コンディションがよりリアルに確認できます。実は3DプリンターやVRはいままでも医療の現場で使われていたのですが、テクノロジーの進化と、そしてOculus Riftなどの安価な製品が市場に登場したことにより一般の方々にも「VR」「3Dプリンター」が普及し、医療現場で行われていた取組に関心が向くようになったという背景があります。

もちろん高価で専門性の高いテクノロジーも医療現場にはたくさん存在しますが、Oculus Riftなど入手しやすく一般に普及しているテクノロジーを医療現場で使うメリットとしては、若手医師や発展途上国の病院でも簡単に真似し、導入できることだと考えています。

--杉本先生はどうして医療にテクノロジーを取り入れようと思ったのでしょうか。

杉本:そもそも医療こそ最先端なテクノロジーを使うべきだと考えておりますし、話題のテクノロジーを活用することにより若い人たちに注目してもらえるメリットがあります。関心が高まり参加者が増えると医療現場も進歩しますので。

あとは、日本のような恵まれた国で出来たテクノロジーを極力シンプルに活用して伝えることにより、発展途上国や後進国での医療現場の発展に貢献できると考えています。

--医療現場でのテクノロジー活用のきっかけは?

杉本:もともと東京の大学病院に勤務していたのですが、2004年に地方の病院に出向しました。そこは患者が多い地域だったのですがすべてがアナログで行われていました。どうしたら多くの患者を少ない医師で救うことができるのか?考えた時に出た答えが、テクノロジーの活用でした。データのIT化はもちろん、レントゲン画像を立体にする画像処理技術を活用したのがスタート地点でした。そして、テクノロジーを取り入れる際にシンプルに導入出来ることを心がけました。田舎の病院だからこそ、最先端のテクノロジーをより簡単に導入する必要がありましたし、そして医師や医療従事者、患者やその家族に、「治ろうとする気持ち」「治療に参加しよう」医療に対するモチベーションを高めるためには市販化されたテクノロジーが有用でした。安価で使いやすいテクノロジーだと、みんなが次へと伝えていくことが出来て、それがまた新しい世代を生むと信じています。

--医療シーンで使われるテクノロジーの未来にはどういったものがありますか。

杉本:“医療“は病院で医師が行うことと思われていますが、テクノロジーの活用により一般家庭でも“医療“が行えるようになります。あるいは病気になる前の段階で医師が介入出来るようになり、病気になるのを待つのではなくて、病気にならない身体を作ることが出来るようになります。よく「病気の早期発見」という言葉を耳にしますが、実は早期発見ではすでに遅い。発見された時点で病気ですから。民生化されたテクノロジーが可能にするのは病気にならないような体を作ることにあります。

テクノロジーが進化すると、本来人間になかった能力が手に入るようになり、まるで能力が拡張したような体験が出来るわけです。「拡張人間(Augmented Human/Human Augmentation/Human Extension)」と言われている分野の話です。テクノロジーの進化によりいわゆるシンギュラリティーと言われている技術特異点にて人工知能やロボットが人間を超えるなどと言われていますが、実は人間の知識・機能自体が拡張していけば特異点、限界点はロボットではなく人間が超えていくかもしれません。

医療にも同じことが言えると思います。今まで病気になったら医師しか治せなかった病気が、もしかしたら一般の人にも治せるようになるかもしれない。最近、縫合手術はロボットが独立して出来るようになったというニュースがありました。ロボットの技術はかなり進んでいて簡単な縫合治療、注射などはロボットが出来ます。一般家庭でもロボットにより簡単な治療を行う世界が来るかもしれません。そうすると、病気になる前の予防、早期発見、さらには病気にならない身体を作るというのが出来るかもしれません。

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最終更新:5月20日(金)13時0分

SENSORS

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