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米国産米 MA加工用4.8万トン 数量保証か 農水省は否定

日本農業新聞 5月20日(金)13時0分配信

 米国政府機関の国際貿易委員会(ITC)が公表した環太平洋連携協定(TPP)の報告書で、米国産米に関する合意を巡り、日米両政府が「文書化されていない約束」を交わした可能性があることが分かった。ミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)の中に設ける6万トンの加工用中粒種米の枠で、その8割を米国に保証するなどの内容だ。政府は「米国の米業界の理解や期待」だとして否定するが、詳しい説明が求められる。

 報告書は「米国の米業界の理解では」とし、米国政府の見解ではないことを示した上で、TPP協定や2国間の交換文書に記されていない日本側の「約束」が多数あると指摘する。その一つとして、加工用中粒種枠での優遇策を例示した。

 TPPで日本は、米国産米に最大7万トンの特別輸入枠を新設する他に、既存のMA枠内にも、加工用の中粒種に限定した売買同時入札(SBS)の枠を6万トン設ける。報告書によると、日本側はその8割の4万8000トンを米国産とすることを「保証」しているという。

 この枠はもともと事実上の米国産米の優遇策とみられていた。米国で中粒種の生産が多いからだ。MA枠の輸入量は77万トンで固定のため、こうした優遇措置を導入しても日本がMAで輸入する米の総量は増えない。

 また、報告書は、米国産米への特別輸入枠の売買差益(マークアップ)にも「約束」があると言及する。日米間の交換文書では「3年中2年で輸入量の上限を満たさなかった場合、翌年は日本側が設定する最低マークアップを15%引き下げる」ことになっており、具体的な水準は示していないが、報告書は「1キロ当たり22円」と記述する。

 これが引き下げ幅か、引き下げ後の単価か、報告書は示していない。現行のMAにも主食用向けのSBS枠があるが、そのマークアップは同50~200円程度。今回の特別輸入枠に輸入義務はないが、マークアップを下げれば、枠上限まで輸入される可能性が高まる。

 報告書は、これらの公式・非公式の「約束」によって、米国産米は「11万8000トン」の新たな輸出機会が得られるとの見通しを示す。

 報告書の内容について農水省は「米国の米業界の理解や期待が書かれたことだと認識している。TPPでの約束は、譲許表や交換文書など文書に書かれていることが全てだ」と否定。加工用中粒種のSBS枠は「需要に基づいて輸入するので、制度的にも数量は保証できない」とする。

日本農業新聞

最終更新:5月20日(金)13時0分

日本農業新聞