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小一女子が「これからは資格職よね」と言うなんて

ニュースソクラ 5月20日(金)18時1分配信

【いま大人が子供にできること(6)】大人だから知っている、仕事のことを話す

 男の子たちは大人っぽくなりました。では女子は、というと……。

 女子はいつでも男子より時代を先取りします。

 男子の目標がおおむね「オレがオレが!」なのに対して(まぁ、それも薄れてきたわけですが)女子の目標は「生きのびること」だからです。そうして「生きのびる」というのは大なり小なり「自分の子どもを守る」ということにつながります。

 子どもの命に比べれば、そりゃ、あんたのプライドがなにさっ?! という気にもなるでしょう?

 いま、小学校三年生から下はスマホ世代になったわけですが、去年の夏、一年生女子三人がおしゃべりをしているところにいあわせました(だからいまは二年生ですね)。聞くともなしに聞いていると
「これからは資格職よね」
というセリフが聞こえたので、思わず耳がダンボになると
「うーん、やっぱり介護士かなぁ」
と始まりました。

 そのあとの彼女たちの話をまとめると、まず
「子どもは欲しい」
(あんたらも充分子どもですがな、という突っ込みは置いといて~)

「まわりの男子を見ていると自分と子どもを養ってくれるとは思えない」
(まぁ、そうだろうね。まだ一年生だもん)

 あと、ここには、男に養ってもらえるほど、自分は女子力が高いとは思えない、というのも入ってるみたいでした。
もっというなら女子力高くなりたいなんて初めから思ってない、なのかもしれません。なので
「自分が子どもを育てて生きていかなきゃならないとなるとちゃんと金を稼げないとならない」
「妊娠したり病気したりして働けなくなることもあるかもしんない」
「だからいつでも仕事に戻れてそこそこお金がもらえる仕事」

「資格職よね?!」
ということになるらしい……。
 ひえぇぇぇ~!

 その上彼女たちは、頭がよければ管理栄養士か薬剤師になれる、これはお金がたくさんもらえる……なりやすいのは介護士と看護師……頭悪かったら保育士……といってました……。
 そこまで?!

「でも保育士は給料安いっていうよ~。」
「でもあたし、頭悪いもん。保育士くらいしかなれないよ~。それにさ、自分が保育士だったら、子どもは絶対あづかってもらえるじゃん?」
「そうだね~」

 いや、あんたたち、じゅうぶん頭いいと思うよ。

 それはそういうことをいつも親がいってんだろ、ということもあるかもしれません。でも、だからといって関係ないと思えば子どもは忘れてしまうでしょう。

 大事なことは、彼女たちがすでに人生のゆくさきを不安に思っていて、就職を自分の問題としてとらえている、考えている、ということです。

 まあ彼女たちは大学進学はほぼ視野に入っていないグループです。大学にいく頭はないよねぇ、とか勉強は好きじゃない、とか早く一人前になりたい、とかうちにはそんな金はない、ので進路はせいぜい専門学校だなぁ、と思っている人たちです。

 当然大学にいくに決まってる、と思っている女子たちからはまだ仕事の話はでてきません(少なくとも一年生の段階では)。でもいっときはかなりの率で大学・短大進学組が多かったのに、リーマンショック以降、めっきり専門学校組が増えた気がします。

 それと比例するようにアイドル、モデル、お花屋さん、ケーキ屋さん、といった女の子の憧れの仕事……をいう子があきらかに減ってきている……と思います。パティシェ、になりたがっている女子、はときどきいますが、それはケーキ屋さんでケーキを売る人、ではなく、あくまでもパティシェ、で、そういう子は結構本気組だったりします。

 そのかわりに浮上してきたのが、介護士、看護師、保育士なのでしょう。文科省がキャリア教育キャリア教育というので、今の学校図書館には必ず“仕事”という棚があるのですが、その前に群がっているのもそういえばいつも女子ですね。小学校も中学校も高校も……。

 そのすぐあとに大学四年の女子大生が遊びに来て、まぁ彼女はいい大学にいってるからもあると思いますが、自分のまわりで一般OLを目指している人はだれもいない、という話をしていきました。みんな一流企業の総合職しか狙っていない、というのです。総合職が始まったときは、みんなあんなに嫌がってたのに……。

 で、それもなぜかというと「離婚したときに子どもを育てられるかを考えるからですよ~」
なのだそうです。
あんたたちまだ彼氏もいない! 結婚も、子どももまだでしょう? なのにはや、離婚の話かい!? 確かに充分想定内の話ではあるけど……。

 まあ女子は二十歳になったら老後のことを考え始めますし、その考え方が間違ってるわけではないんですが、ということは、6歳も22歳も考えてることは同じ?!

 というわけで大人のみなさんにお願いです。

 折に触れ、こーんな仕事もあるよ、こういうのもあるよ、という情報、を話してやってください。子どもは大人が思っているよりずっと大人の話を聞き、テレビのニュースを見、無意識にそれをもとに判断しようとします。情報が間違っていたら答えも間違ってしまいます。

 この、介護士がいいっていってたよ、という話を実際に介護士をやっている知り合いに話したら、彼女は蒼くなって、その子たちに絶対に四年生の大学を出るようにいって!といいました。介護士なんて仕事が大変すぎて、管理する側に回らないとつぶれる……だから大学でてないとダメなのよ、だそうです。

 確かに、学校で仕事の教育でやっていることは、どの職業も薔薇色、楽しいよ、であって、どんな大変なことがあるかはほぼいいません。適性、やいくらお金がもらえるか、やそれになるのに元手がいくらかかるのか(学校はお金がかかりますからね)も、まず書いてありません。

 とりあえず子どもたちが自分で読める仕事の本を二冊ご紹介しておきますので、お土産にでもしてください。

『クレヨンしんちゃんたのしいお仕事図鑑』双葉社
『ミラクルたのしい!ハッピーお仕事ずかん』西東社

 どちらも大変人気でよく読まれます。で、もちろん、仕事はそれだけではありませんから、そこに載っていないものに関しては話してやってほしいのです。

 世界は広く、これからはいままでになかった仕事もたくさん出てくるでしょうからーー。

■赤木 かん子(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。
著書多数。

最終更新:5月20日(金)18時1分

ニュースソクラ

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