ここから本文です

TPP試算 日米で大きな開き 国内対策 効果に疑問も

日本農業新聞 5月21日(土)14時50分配信

 環太平洋連携協定(TPP)の経済効果をまとめた日米両政府の試算が出そろった。米国は日本への農産物輸出が約4000億円増えるとはじくが、日本は米国以外の影響も含めて生産減少額は1300億~2100億円にとどまると見込む。日本政府の試算には、以前から影響を過小評価しているとの指摘もあり、試算について一層丁寧な説明が不可欠だ。

 米国の政府機関・国際貿易委員会は18日、TPPが米国経済に与える影響を分析した報告書を出した。品目別に見ると、米国の試算では米の対日輸出額は23%増えるが、日本の試算では生産減少額はゼロ。牛肉も、米国の試算で対日輸出は923億円増えるが、日本の試算では生産減少額が311億~625億円で差がある。

 米国の輸出額が増えても他国産に置き換わる場合もあるため、輸出増加がそのまま日本の生産額減少につながるわけではない。だが、影響を緩和する国内対策を日本の試算に織り込んでいることが試算の差の大きな理由だ。

 日本政府がまとめた影響試算では、関税撤廃・引き下げによる国産価格低下の影響だけを見ている。コスト削減などのTPP対策の効果が発揮されたという前提で生産量は維持できるとする。例えば米は、米国とオーストラリアに合計7万8400トンの国別輸入枠を設けるが、同量の国産米を備蓄で吸収することなどを理由に影響はないとする。一方、米国の試算ではこうした対策を織り込んでいない。

 日米の違いについて農水省は「前提が異なるため、単純に比較できない」とする。TPP対策を行うことが既に決まっているため、対策の効果を入れない状態で再試算する考えはない考えも度々示している。ただ、対策の効果が具体的に見えない段階で試算に織り込むのは適当ではなく「過小評価」との批判が野党から出ている。

日本農業新聞

最終更新:5月21日(土)14時50分

日本農業新聞