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連載コラム第4回「リオへの軌跡」車椅子バスケ

カンパラプレス 5月21日(土)11時1分配信

“本当に勝つべき時”を見据えた采配

 及川晋平ヘッドコーチ(HC)が率いる車椅子バスケットボール男子日本代表。彼らにとって忘れることのできない、いや忘れてはいけない戦いがある。2014年10月24日、アジアパラ競技大会最終日に行われた韓国との決勝だ。その2日前、2008年以来一度も勝つことができなかったイランに逆転勝ちし、チームは勢いに乗っていた。選手の誰一人、日本の優勝を疑う者はいなかったに違いない。
 正午、“アジア王者”を決めるファイナルが始まった――。

試合を左右した“3分間”

 スタートは両者とも一歩も譲らない激しい攻防が繰り広げられた。韓国がアウトサイドからシュートを決めれば、エース香西宏昭がミドルシュートで応酬。またエースでキャプテンの藤本怜央がゴール下を攻めれば、韓国もカットインプレーでゴール下に切り込みシュートを決める。まさに一進一退。第1クオーター残り3分の時点で、日本が1点ビハインドの12-13と拮抗していた。

 ところが、ここからの3分間が最後まで日本を苦しめることになる。
スリーポイントなど高い確率でシュートを決め、9得点を挙げた韓国に対し、日本はパスミスで自らチャンスをつぶすなどして攻撃のリズムに狂いが生じ、得点はフリースロー1本にとどまった。13-22。韓国との差は9点にまで広がってしまった。

 続く第2クオーターは、お互いにシュートが入らず、試合は停滞気味となる。韓国にも第1クオーター終盤ほどの勢いはなかった。日本としては、この間に流れを引き寄せたいところだったが、それは叶わなかった。ともにほとんどスコアは動かず、20-30と韓国10点リードで試合を折り返した。

 「相手がどうというよりも、自分たちがいかに精度の高いプレーができるかどうか」
 試合前、及川HCも藤本も、そう口を揃えていた。前半はその“精度の高いプレー”が影を潜め、思うようにいかずに苦しい時間帯が続いた。

 だが、前半を終えた時点で、及川HCの中に焦りはなかったという。それは、ある“プラン”が予定通りに進められていたからだった。
 「前半はミスが多かったので、リードするのは難しかった。だからこそ、後半が勝負になるだろうと思っていました。そういう意味では、前半になるべく多くの選手を起用して、主力に余力を残した状態で後半に入るというわれわれのプランは間違ってはいないと考えていたんです」

 同年7月の世界選手権での敗戦を機に“主力頼り”から“全員バスケ”へとチーム作りを進めてきた日本。アジパラはその“初舞台”だった。既に準決勝のイラン戦では、その選択が正しかったことが証明されていた。前半に全員を起用することによって主力の負担を軽減し、勝負どころで主力が力を発揮。延長戦の末に逆転勝ちを収めていた。韓国との決勝でも、そのプランが遂行されていたのだ。

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最終更新:5月21日(土)18時5分

カンパラプレス

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。