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国は沖縄に対して過度に優遇している?【誤解だらけの沖縄基地・31】

沖縄タイムス 5月22日(日)12時42分配信

 4月22日、東京・霞が関。名護市辺野古への新基地建設を巡り、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」で翁長雄志知事が意見陳述した。その中で沖縄関係予算に触れ、「多くの国民は、国から予算をもらった後に沖縄だけさらに3千億円を上乗せしてもらっていると誤解している」と指摘。こう訴えた。
 「真実とは異なる風説が流れるたびに、沖縄県民の心は傷ついていく。都道府県で、国に甘えているとか甘えていないとか言われるような場所が他にあるだろうか」
 沖縄関係予算は1972年の本土復帰を機に、米軍統治下で整備の遅れた教育や医療、道路などを他の都道府県と同じ水準にするために始まった。通常の予算に上乗せされるわけではなく、国が他県へ事業費などを支出するのと同じ趣旨の予算だ。他県は各省庁から予算配分されるのに対し、沖縄は内閣府の沖縄担当部局に一括計上する制度をとっているため総額が明らかになる。道路や港湾整備、学校耐震化、子どもの貧困対策のほか、不発弾処理などにも使われる。
 沖縄はどのぐらいの金額をもらっているのか。
 内閣府の沖縄総合事務局調整官を務めた宮田裕・沖縄国際大経済環境研究所特別研究員によると、72年度から2016年度までの振興事業費は計10兆6889億円となる。一方、72年度から2014年度までに所得税、法人税、酒税など沖縄から国に納めた税金は8兆2697億円。02~11年度でみると、国税収納額が振興事業費を総額で1170億円上回る。
 宮田氏は「国へ支払った額を考えると、沖縄が過度にもらい過ぎているとはいえない」と説明する。
 一方で、復帰から40年が過ぎ、本土との社会資本の格差は縮まったものの、「経済的自立には至っていない」と指摘する。県内総生産は、復帰時の4592億円から12年には3兆8066億円と8・3倍に拡大。対照的に、地域経済を支える製造業はしぼみ、県内総生産に占める割合は10・9%から4・5%に低下した。
 宮田氏は、米軍基地があるために国の経済対策なども政治色を帯び、戦略や分析が足りずに市場競争力がそがれてしまったのではないかとみる。「政治力学ではなく、沖縄の地理的優位性を生かした経済力を育てる力が必要だ」と指摘した。
 復帰から44年。格差是正から自立経済へどう転換するか。沖縄の覚悟も問われている。

最終更新:5月23日(月)11時36分

沖縄タイムス